【視点】屋久島町長、過労死訴訟の最中に議会で「働いて」5回連呼の無神経
荒木町長、流行語大賞の高市首相発言「働いて働いて…を使っただけ」
町幹部、同僚職員の公務災害死に「面識ないので情がわかない」
屋久島町営牧場 過重労働死訴訟
まずは、屋久島町議会12月定例会の一般質問であった荒木耕治町長の答弁について、次の動画をご覧いただきたい。9月の町議選で再選を果たした内田正喜町議に対するねぎらいの言葉である。

「おはようございます。再選おめでとうございます。
わたくしも『働いて働いて働いて働いて働いて』まいります。
行ってみたい町、住んでみたい町をめざしてですね。
議会の皆さんと一緒に頑張りたいと思います」
過労死訴訟の最中に「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」
今年10月、自民党の高市早苗氏が党総裁に就任した際に、記者会見で発した「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」とまったく同じ言い回しだ。「働いて」を5回も連呼したことで、過労死などを防ぐための「働き方改革」に逆行する発言だとして批判を浴びた、曰くつきのフレーズである。
折しも12月定例会の初日に荒木町長は、町営牧場で職員が死亡したことをめぐる過重労働死訴訟について、裁判所が示した和解案を拒否することを報告したばかりだった。町が遺族に解決金4000万円を支払う内容で、町の管理責任を認めた和解案だったが、荒木町長は「和解による解決が相当との判断理由、解決金の算定額に疑問・疑義がある」と反発。和解ではなく、判決による解決を望むというのだ。

荒木町長、遺族への配慮「まったく浮かばなかった」
自身が雇用した職員の過重労働死が問題になっている最中に、なぜ「働いて」を5連発して批判された高市首相の発言をまねたのか?
さらには、どうして遺族を傷つけるような言葉を、あえてこのタイミングで発したのか?
そこで、その真意を聞くために総務課を通じて荒木町長に説明を求めると、こんな答えが返ってきた。
高市首相の発言が「新語・流行語大賞」に選ばれたニュースをテレビで見て、それを単に自分で使っただけだという。また、遺族に対する配慮については、「そんな考えはまったく浮かばなかった」というのだ。
だが、ニュースでは新語・流行語大賞の授賞に加えて、高市発言に批判の声があることも報じられている。授賞後の12月11日には、過労死で親族を亡くした遺族らが記者会見で「死者にむち打つ言葉だ」と批判し、授賞については「遺族には最大の侮辱である」と強く抗議している。
そんなニュースも報じられているなかで、荒木町長の議会答弁が、家族の尊い命を奪われた遺族の心を深く傷つけることは明らかだ。もし、遺族に配慮する考えが「まったく浮かばなかった」とすれば、町民1万1000人の命と暮らしを守る自治体の首長として、その資質に大きく欠けると言わざるを得ない。
同僚の死に寄り添えない町幹部
そこで、せめて町役場の職員たちは元同僚の死に心を痛めるのではないかと思い、こんな質問を幹部の一人に投げかけてみた。
「屋久島町のために働いた仲間の職員が亡くなったことを思えば、荒木町長の発言に問題は感じないのか?」
ところが、その幹部からは耳を疑う答えが返ってきた。死亡した職員と面識がないため、「あまり情がわかない」というのだ。それゆえに、荒木町長の発言にも何も問題は感じないという。

職員の過労死、議会も見て見ぬふりの恐ろしい町
記事の初めに紹介した議会答弁に戻ると、荒木町長はこんな発言もしている。
「行ってみたい町、住んでみたい町をめざしてですね。議会の皆さんと一緒に頑張りたいと思います」
だが、町長や町幹部の発言を聞いていると、こんな町に「行ってみたい」とは、とても思えない。さらには、この過重労働死問題に見て見ぬふりを続け、町議会でまったく取り上げない町議たちの姿勢を見ていると、こんな町に「住んでみたい」とは、到底思えるはずもない。
屋久島町という自治体は、人命を尊重できない、とても恐ろしい町である。
