取材の可否、記者クラブの加盟だけを条件に決める屋久島町議会の不合理

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町、沖縄県議会取材拒否訴訟の判例を根拠に「記者クラブ限定は肯定される」

屋久島ポスト、石田尾議長に取材を拒否する具体的な事情や理由はないと反論

【議会取材の自由を守る訴訟】

屋久島町議会(石田尾茂樹議長)が市民メディア「屋久島ポスト」の議会取材を拒否しているのは、「表現の自由」などを保障した憲法に違反しているとして、屋久島ポストが町を相手取って提起した「1円訴訟」――。

この訴訟の弁論準備手続きが2025年12月17日にあり、石田尾議長が屋久島ポストの取材を不許可とした理由を説明するため、被告の町が準備書面を鹿児島地裁に提出しました。

その書面で町は、「議長には議会傍聴にかかる制限について広範な裁量が認められており、録音・撮影行為を県庁記者クラブのような新聞協会や民放連に限定する運用は肯定される」と主張。その根拠として、福岡高裁那覇支部が「沖縄県議会取材拒否訴訟」で言い渡した2021年1月21日の判決を示しました。

そこで、町が引き合いに出してきた沖縄県議会の取材をめぐる訴訟について、以下に説明します。

映画製作会社、撮影拒否の沖縄県議会を提訴

北海道の映画製作会社「森の映画社」は2017年7月、辺野古新基地建設に関するドキュメンタリー映画を製作するため、沖縄県議会の本会議で撮影の許可を求めました。ところが県議会は、同社が県庁記者クラブに加盟していないことなどを理由に撮影を拒否。これに対し同社は、「法の下の平等」や「表現の自由」を保障した憲法に違反するなどとして、県に50万円の賠償を求めて提訴しましたが、一審と二審で敗訴しました。

その後、同社は最高裁まで争いましたが、2021年9月2日に上告が棄却され、同年1月21日に言い渡された福岡高裁那覇支部の判決が確定しました。

沖縄県議会=Wikimedia Commons より

沖縄県議会、辺野古新基地建設をめぐる議会審議で混乱を心配

屋久島ポストは【議会取材の自由を守る訴訟】を提起するにあたり、事前に森の映画社に連絡をして、沖縄県議会の取材拒否訴訟の裁判資料を取り寄せていました。そして、判決文を詳細に読み込み、県議会が撮影を不許可にしたのは、単に同社が県庁記者クラブに加盟していないことが理由ではないことを確認していました。

同社から送られてきた二審の判決文によると、県議会の議長が撮影を認めなかったのは次のような理由でした。

①森の映画社はドキュメンタリー映画の製作会社であり、取材の目的が直ちに報道目的といえるか議論の余地があった。

②同社が会議に関わる事実を正確かつ公平に報道できる能力・資質があるか否かを判断するのが困難な状況であった。

③許可申請がされたのが本会議の4日前であり、本会議開会期間中の議長が自ら進んで同社について調査を行うことが難しかった。

④採決が予定されていた議案については、辺野古新基地建設の是非をめぐる激しい意見の対立があり、傍聴人による不適切な撮影行為がされる可能性や、その弊害が大きいものとなる可能性が高かった。

⑤上記のような状況で、報道機関といえるか議論の余地がある同社による撮影を許可した場合、今後、同様の撮影許可が多数申請されるという事態が想定された。

⑥上記の結果、会議の秩序が乱されたり、ニュース報道を目的とする報道機関の撮影の機会が阻害されたりする可能性があった。

つまり、沖縄県議会が同社の撮影を不許可にしたのは、上記のような事情があったからであり、ただ単に同社が県庁記者クラブに加盟していないことが理由ではないということです。

屋久島ポストが取材しても混乱は予想されず

それでは、屋久島ポストの取材を拒否した石田尾議長には、この沖縄県議会の事例のように、何か具体的な事情や理由があったのかといえば、おそらく何もないはずです。

議員席から取材を拒否する理由を問われた後、手を出して町議の発言を制止する屋久島町議会の石田尾茂樹議長=2021年12月7日、屋久島町役場議会棟

それを踏まえ私たちは、次の点を列挙して、石田尾議長が屋久島ポストの取材を拒否する合理的な理由はなかったと主張する予定です。

①屋久島ポストは調査報道を主目的にした市民メディアであり、取材の目的が報道であることは明らかだった。

②屋久島ポストが会議に関わる事実を正確かつ公平に報道できる能力・資質があることは、共同代表である原告武田の取材経験から明らかであった。それがゆえに、石田尾議長が2019年11月26日の全員協議会において、原告らの取材を「今回限りの特例」で許可したところ、屋久島ポストは会議に関わる事実を正確かつ公平に報道した。

③屋久島ポストは2019年11月26日の全員協議会で取材を許可されており、その11日後に開かれた12月7日の本会議において、原告らが会議に関わる事実を正確かつ公平に報道できることは明らかであった。

④原告らの取材が不許可とされた会議において、激しい意見の対立があった辺野古新基地建設のような問題や議題は一つもなく、傍聴人による不適切な撮影行為がされる可能性や、その弊害が大きいものとなる恐れは全くなかった。

⑤上記のような状況で、屋久島ポストの取材を許可しても、その後、同様の撮影許可が多数申請されるという事態は想定されていなかった。

⑥屋久島ポストの取材が許可されたとしても、会議の秩序が乱されたり、ニュース報道を目的とする報道機関の撮影の機会が阻害されたりする可能性は全くなかった。

果たして、この主張に町はどう反論してくるのか。

次回期日は2月12日。詳細なやり取りについては、期日の終了後に追って報告します。

※「屋久島ポスト」は訴訟の当事者であるため、この【議会取材の自由を守る訴訟】については、記事の文体を「です、ます調」にしたうえで、主観を入れた体験取材記の体裁にしています。

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