各首長から「発展的解散」「一本化」を望む声 世界自然遺産地域ネットワーク協議会

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発足10年、一つも成果ないまま「世界自然遺産5地域会議」に統合へ

発起人の荒木町長「国から財政支援を得ることが目的だった」

【上】世界自然遺産地域ネットワーク協議会の横断幕を手に記念撮影をする屋久島町の荒木耕治町長(右から2人目)ら各市町村の代表者たち=2016年6月26日、東京都内、屋久島町提供【下】屋久島町役場=屋久島ポスト撮影

日本国内にある世界自然遺産地域の市町村でつくる「世界自然遺産地域ネットワーク協議会」(会長・荒木耕治町長)が発足10年で解散し、一つも成果を残せないまま「世界自然遺産5地域会議」(事務局・屋久島環境文化財団)に統合される問題――。

同協議会は今年8月に会議を開き、実質的に同協議会を解散し、世界自然遺産5地域会議に統合する方向で調整していくことを決めた。出席した各市町村の代表者からは、大阪・関西万博に参加した5地域会議の活動を評価する一方で、同協議会については「発展的解散でよい」「一本化した方がよい」といった意見が出された。

それに対し、同協議会の発起人で代表でもある荒木町長は、国から財政的な支援を得ることが設立の目的だったと説明したうえで、5地域会議への統合を望む各市町村の意見に同意する旨を伝えた。

情報公開制度で屋久島町が開示した関係文書によると、同協議会の会議は8月30日に北海道斜里町で開かれ、屋久島、沖縄・奄美、小笠原諸島、白神山地、知床の各世界自然遺産地域から、12市町村が出席。今後の協議会のあり方について、各市町村の代表者が次のように述べた。

東京都小笠原村 環境課主査「一本化した方がよい」
二つの団体が並行してあるのはよろしくない。どちらが『いい』『悪い』ではなく、一本化した方がよい」

小笠原村ウェブサイト画面

北海道羅臼町 湊屋稔町長「一つにまとまった方がいい」
「同じようなものが二つあるよりは、一つにまとまった方がいい。(中略)当然ながら、地域を知ることでの親睦は大事だ。この会議はそういうとこから始まっていると思っている。皆さんの理解が得られれば、そこを貫いていってもいいと感じている」

羅臼町のウェブサイト画面

北海道斜里町 山内浩彰町長「一つでよい」
「例えば5地域会議をやって良かったところもある。子どもたちの作文等、次の世代につなげていく地域の取り組みだとか、世界自然遺産地域ネットワーク協議会のなかで足りていないとなれば、協議会のなかで取り組み前進をしていく。一つでよいと考える」

斜里町観光協会のウェブサイト画面

鹿児島県奄美市 安田壮平市長「発展的解散でよい」
「5地域会議という枠組みには感謝している。各自治体の皆様が述べたとおりの方向性に集約していくべきだと思う。参考になる取り組みやメッセージ等は受け継いでいきたい。発展的解散でよいが、5地域(会議)の理解は必要」

奄美大島・加計呂麻島の観光サイトの画面

鹿児島県徳之島町 高岡秀規町長「集約した方がよい」
「別途、(会議が)開かれるとしたら日程調整も困難だ。担当者も出席ができないケースが出てくる。より出席率を高めるためにも集約した方がよいと思う。充実させるためにも、一つにまとまった方がよいと思う」

徳之島町のウェブサイト画面

荒木町長「世界自然遺産になって、誰も交流人口が増えるとは思っていない」

これらの意見を受けて、会長の荒木町長は次のように説明した。

「本会を設立した当初、国が世界自然遺産として認識をし、特別交付金等財政的な支援を得ようと考えていた。私一人で考えるよりも、みんなとそういう形で作り上げていければよいと考えた。

世界自然遺産になって、誰もその時に交流人口が増えるとは思ってやっていない。なってから驚いた。『なんでこんなに人が来るの』ってビックリした。だから、世界自然遺産=観光ではなかった。

元々は保護と保全をして、いかに自分たちの故郷を、子どもや孫に、より豊かにして残していくかを考えた。だけど、島で生まれた人も文化的な生活もしたい、保全と活用をきちんとやって、その島を守っていくという思いで会議をやってきた。

新たに奄美・徳之島・沖縄・西表も入った。新たな方向に行くチャンスなのではと思う。皆さまの意見がほぼ同様だったので、今回の話を(屋久島環境文化)財団や理事長に伝え、穏便に進め、理解が得られれば今回の決定のとおりに行きたいと思う」

屋久島町のウェブサイト画面

協議会、活動は毎年恒例の会議だけ

同協議会は「世界自然遺産地域を有する自治体が共通の使命を認識し、自然資源の保護と活用の方策を確立する」ことを目的に、荒木町長の呼びかけで2016年に発足した。だが、これまでに具体的な成果は一つもなく、実質的に毎年恒例の会議を開くことだけが同協議会の活動になっていた。

その一方、5地域会議は2023年に屋久島環境文化財団が中心となって発足。5地域の市町村や公益財団法人などが協力し、活動の第一弾として2025年6月に大阪・関西万博で「千の自然・千の時間―私たちと世界自然遺産5地域」と題したイベントを開き、人と自然が調和した保護の重要性を訴えた。また、11月20日に開かれた会議では、世界自然遺産地域ネットワーク協議会について、5地域会議と会員の多くが重なることから、一つに統合する方向で調整することが承認されている。

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