【視点】補助金不正、事件から6年過ぎても職員の処分がない異常事態

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職員3人、町の公印を勝手に押して国に虚偽報告書

当時の総務課長、不適切な公印管理で報告書も確認せず

屋久島町、公印不正使用の原因「正直、わからない」

屋久島町の荒木耕治町長の名前で出された文書に押印された公印=屋久島ポスト撮影

屋久島町が2020年度に水道工事の国庫補助金を申請する際に、虚偽の工事完成日を記載するなどして、国から補助金1668万円の返還命令を受けた国庫補助金不正請求事件――。

この事件をめぐる住民訴訟で町は、水道工事を担当した職員3人(当時)が町の公印を勝手に使い、荒木耕治町長ら町幹部の決裁を受けることなく、国に虚偽の実績報告書を提出したことを認めている。

そんなでたらめな事務手続きをすれば、その職員たちは重い処分を受けるはずなのだが、事件から6年が過ぎた今現在でも、町は懲罰委員会を開いていない。それどころか、職員3人による不正行為を町議会などで報告しておらず、実質的にこの不正を屋久島町民に隠し続けている。

補助金不正請求事件をめぐる住民訴訟が提起された鹿児島地方裁判所=屋久島ポスト撮影

町公印規則に反する不適切な管理

そこで、町の条例や規則などが掲載された例規集を検索すると、「屋久島町公印規則」というルールがあることがわかった。そして、その第3条にある<保管の方法>の規定をみると、次ように示されている。

<第3条 公印を常に堅固な箱に納めて保管しなければならない。>
<2 公印は、特に公印保管者の承認を受けた場合のほか、保管場所以外に持ち出してはならない。>

この規定に照らすと、事件当時、公印は<常に堅固な箱に納めて保管>していなかったことだ。そして、職員たちは公印保管者である総務課長の承認を受けることなく、<保管場所以外に持ち出してはならない>公印を勝手に持ち出して、国への報告書に押印していたことになる。

さらに、第8条にある<公印の使用>の規定をみると、次のように記載されている。

<第8条 公印を使用するときは、公印保管者に決裁文書を提示し、その承認を受けなければならない。>

この規定を踏まえると、公印保管者である総務課長が報告書を確認および承認しなかった結果、国に虚偽の報告書が提出されたことになる。

国庫補助金を申請する際に、屋久島町が鹿児島県を通じて国に提出した事業実績報告書の一部。「荒木耕治町長」と記載された横に押された公印は、担当職員が町幹部の決裁を受けずに独断で押印したものだった

虚偽報告書、公印保管者の総務課長の責任は極めて重い

ここまで読んで明らかなのは、職員3人が勝手に公印を使えたのは、総務課長が公印規則に従って、公印を適切に保管および管理していなかったからだ。もし、報告書に公印を押すことができなければ、そもそも国に報告書を提出できなかったことになる。

その意味で、公印保管者である総務課長の責任は極めて重い。

岩川副町長、当時の総務課長からの事情聴取は急務

そこで、不正行為があった2020年度の総務課長を調べると、すでに定年退職している鎌田勝嘉氏であることがわかった。そして、当時の総務課参事だったのは、現在も町政に深く関わる岩川茂隆副町長である。

そうなると、まずは岩川副町長の責任で、鎌田氏に当時の事情を聴かなくてはならない。退職者の処分はできないが、不正行為の調査および検証をするためには、当時の公印保管者であった鎌田氏からの事情聴取は必要不可欠だ。職員3人が勝手に公印を使えたという事実がある以上、鎌田氏が適切な公印管理を怠っていたことは明らかである。

この事情聴取が終われば、次は職員3人に対する調査が必要になる。すでに1人は定年退職しているが、残りの2人は現役の職員だ。事件から6年が過ぎた今現在でも、懲罰委員会がこの2人の処分を検討しないのは、地方自治体としては許されないことである。

屋久島町役場=屋久島ポスト撮影

調査検証なければ懲罰委員会は開けない

この公印不正使用については、3月10日にあった町長記者会見で、記者から調査と検証が必要だとの指摘があった。それに対し、荒木耕治町長は「現在は総務課長が鍵付きで(公印を)保管して管理している」と述べるに留まり、調査と検証の必要性には言及しなかった。

だが、不正行為の調査と検証をせずに、どうやって職員の処分を決めるのか。このまま何もしなければ、町は懲罰委員会を開くこともできず、公印を勝手に押印するという不正行為の責任をうやむやのまま放置することになる。

屋久島町政をめぐる諸問題について、荒木耕治町長(右端)が鹿児島の報道機関に会見した会場。副町長や各課の幹部らも出席した=2026年3月10日、屋久島町役場、屋久島ポスト撮影

適切な公印管理なら虚偽報告書は提出できず

記者会見では、記者から「今まで誰でも公印が使える状況になっていたということか?」と問われ、総務課の三角謙二課長はこう答えた。

「正直、わからない」
「今までも、そうだったが、そのなかに魔があったのかもしれない。ちょっとそこはわからない」

それだけ当時の事情が「わからない」と言うのであれば、やはり早急に元総務課長の鎌田氏や職員たちに事情を聴くべきだ。そして、この職員による不正行為について、町として処分を決めて、事実関係を屋久島町民に説明しなくてはならない。

事件から6年が過ぎても関係職員が処分されないのは、地方自治体としては、まさに「異常事態」である。

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