【展望】国に返還した補助金1330万円、このままだと屋久島町民の負担になる
業者、損害賠償請求訴訟に出廷せず 次回で判決の見通し
補助金返還の原因、そもそもは町が虚偽の工事完成日を報告したこと
1330万円の損失、町幹部の責任追及は町議会の責務

屋久島町が水道工事で虚偽の工事完成日を報告して、国から補助金の返還命令を受けた事件をめぐり、町が補助金返還の責任は「工事遅延を招いた業者にある」として、返還額の一部である約1330万円を町内の業者に賠償請求した民事訴訟――。
この訴訟の第1回口頭弁論が5月26日に鹿児島地裁で開かれ、被告の業者は法廷に姿を見せることはなかった。代理人の弁護士も決まっていないため答弁書は提出されておらず、町の請求に対する認否も不明だ。
町「このままだと次回で判決の可能性が高い」
そこで町総務課に取材すると、今後の見通しについて、こう説明された。
「業者には代理人が付いておらず、全く連絡がない。現在は裁判所からの文書も届いていない状況で、このままだと次回期日で判決になる可能性が高い」
そうなると、業者は何も反論しないまま、第2回口頭弁論が開かれる7月6日には町が勝訴することになる。だが、地裁が賠償を命じたとしても、判決文が業者に届くことはない。

業者に財産なければ強制執行できない
それでは、町が「業者に賠償責任がある」と主張する約1330万円はどうなるのか?
町は強制執行の申立てを地裁に行い、業者が所有する不動産や預貯金などを特定したうえで、財産の差し押さえを求めることになる。だが、もし業者に何も財産が残っていなければ、賠償金を回収することはできない。
つまり、約1330万円が賠償されることはなく、すべて屋久島町民が負担するということである。いくら町が「補助金返還の責任は業者にある」と言い張っても、国から受給できるはずだった金額が町民の財布に入ることはないのだ。

町は嘘をつかず 予算の繰り越しをすべきだった
そもそもだが、国から補助金の返還命令を受けた原因は、町が虚偽の報告書を国に提出したことだ。2021年3月末の段階で工事が未完成だったのに、町が「すべての工事が終わった」と嘘をついた責任を負わされたのである。
補助金の返還後に町は、業者が約束を破って工事を終えられなかったという趣旨の主張をした。だが、それなら正直に事実を国に伝えて、予算の繰り越しをすれば良かっただけの話である。

1330万円の賠償なければ町幹部の責任
このまま訴訟審理が行われなければ、業者に責任があったのかどうかも明らかになることはない。業者に賠償を命じる判決が出たとしても、それは単に裁判上の手続きに過ぎず、実質的に町の主張が認められたことはならないのだ。
まだ判決前なので断定できないたが、このまま約1330万円が戻ってこなければ、責任を負うのは町幹部になる。
そして、それを追及するのは、町民の代表である屋久島町議会であることを忘れてはならない。

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