【JCJ賞 講評】離島記者「生身の人間として調査報道に関わるプロセスが丁寧に書かれている」
「ご飯論法」で安倍政権の国会答弁を批判した上西充子・法政大教授が講評
丁寧で息長い調査報道「非常に困難であることが伝わる読み物」
屋久島ポスト連載「離島記者 報道砂漠で闘う市民メディアの挑戦」
2026年日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞 贈賞式

新聞・放送・出版などにおける優れたジャーナリズムの仕事を顕彰する「2026年 第69回日本ジャーナリスト会議賞」(JCJ賞)の贈賞式が10月10日に東京で開かれ、屋久島ポストの武田剛・共同代表が執筆した連載「離島記者 報道砂漠で闘う市民メディアの挑戦」と「屋久島町政をめぐる一連の調査報道」に賞が贈られた。
離島記者「調査報道に取り組んだ背景を自らの筆で連載」
賞状の贈呈では、JCJ賞の選考委員で、安倍政権による論点ずらしの国会答弁を批判した「ご飯論法」で知られる法政大学の上西充子教授が講評し、「『離島記者』は、武田さんがどのように調査報道に取り組んでいったかという背景を自らの筆で連載したものだ」と指摘。一緒に取材する住民有志のネットワークを駆使する様子などを描くことで、「調査報道をしていく前の、生身の人間としての調査に関わるプロセスが非常に丁寧に書かれていて、読み物としても非常に面白かった」などと評価した。

上西教授による講評は次のとおり。
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連載「離島記者」は、武田さんがどのように調査報道に取り組んでいったかという背景を自らの筆で連載されたものです。
取材が原因で警察で取り調べ
一番最初に「あなたには黙秘権があります」というところから始まります。
これは何かというと、航空券の不正な領収書問題の事実関係を問う場面に、武田さんが立ち会い、その時に無理やり証言をさせたとして強要容疑で告発され、警察署で取り調べを受けることになるんですね。そして取り調べを受けてみると、自分の容疑がいかに不当なものかということを他の記者に伝えたくても、なかなか自分側のことは聞いてもらえない。警察側の発表だけが記事になってしまい、これまで自分が大手新聞社の記者としてやってきたことを、逆の立場から捉えて考えるということを伝えています。

町民のネットワークを活かす調査報道
あと、武田さんは元々写真部の記者だったので、調査報道には深い経験がなく、元同僚から調査報道や情報公開請求のやり方などを学んだりしています。あるいは住民訴訟をやってみると、法廷で文書の提示を求めることができるので、それは調査報道とは違うかたちで事実を掘り起こせるということがわかったりします。また、自分の取材では及ばないところを、町民のネットワークで「この人がこう言ってるよ」とか「関係してるよ」といった話をつかんできたりというプロセスですね。調査報道をしていく前の、生身の人間としての調査に関わるプロセスが非常に丁寧に書かれていて、読み物としても非常に面白かったです。

町側が契約先の報道機関に文句を言いに行く困難も
一方で、小さな町で調査報道をやることが、いかに大変かということもわかります。
町側が、武田さんが業務委託契約を結んでいた鹿児島の放送局や朝日新聞に対して、武田さんに一切何も言わないでいきなり文句を言いに行くこともありました。それで結局、お仕事を終わらざるを得ないということがありました。また、自分がやりたい調査報道を丁寧に息長くやっていけるけれども、非常に困難であるということもよく伝わってくる、そういう読み物でした。
皆さんも、屋久島ポストはネットで見られますので、この機会に、ぜひ見ていただければと思います。
おめでとうございました。
