屋久島町、国に返還した補助金1330万円は業者が予見すべき「特別損害」と主張
町、工事が未完成のまま工事請負代金を業者に前支払い
「工期を守れなかった場合は補助金の取り消しを予見すべきだった」
7月28日に判決、町が勝訴しても賠償されない見込み
国庫補助金不正・損害賠償請求訴訟

屋久島町が水道工事で虚偽の工事完成日を報告して、国から補助金の返還命令を受けた事件をめぐり、町が補助金返還の責任は「工事遅延を招いた業者にある」として、返還額の一部である約1330万円を町内の業者に賠償請求した民事訴訟――。
この訴訟で町が鹿児島地裁に提出した訴状の内容が、屋久島ポストの取材でわかった。
国に返還した約1330万円について町は、最終工期だった2021年3月31日までに工事が終わらなければ、国から補助金の返還命令を受けることが予見された「特別損害」(民法416条2項)だったと指摘。業者は長年にわたって公共工事を請け負ってきた実績があり、工期に遅れた場合は「補助金が取り消されるという事情を予見すべきだった」と主張している。

屋久島ポスト、町が開示拒否の訴状を地裁で閲覧
2026年2月24日の提訴後、町が「係争中」を理由に訴状の開示を拒否していたため、屋久島ポストが7月8日に同地裁で訴状を閲覧した。
訴状やこれまでの取材によると、町と業者は2020年10月に約3668万円の工事請負契約を締結。その後の契約変更で、工期は同月から2021年3月19日となったが、業者は工期内に工事を終えることができなかった。
国への虚偽報告が報道で発覚して補助金返還
工事は未完成だったが、町は工事の完成を確認しないまま同年5月28日に前払金を除いた残りの請負代金である約2300万円を入金し、業者に支払った総額は約3668万円となった。工事は請負代金の支払い後も続き、実際にすべての工事が終わったのは同年8月だったが、町はその事実を国に報告しなかった。
屋久島ポストは同年11月、町が虚偽の工事完成日を国に報告して、国庫補助金を不正に受け取っていたことを報道。それを受けて、国は2022年3月に補助金の返還命令を出し、町は補助金の一部と加算金を含めた約1668万円を国に納付した。

業者は公共事業で長年実績「特別損害を予見すべきだった」
国に返還した補助金について町は、業者が工期内に工事が完成できなかったことによる町の損害で、補助金の一部が取り消されたという特別事情で生じた「特別損害」(民法416条2項)だと指摘。業者は長年にわたって公共工事を請け負ってきた実績があり、「年度内の工期を守れなかった場合には補助金が取り消されるという事情を予見すべきだった」と主張している。
なお、工期内に工事が完成できなかったのは計6業者だったが、そのうち5業者は町の求めに応じて国に返還した金額を弁済。提訴された業者だけが請求に応じていないため、訴訟の請求額を約1330万円とした。

業者が出廷しないまま結審
この訴訟をめぐっては、7月6日に第2回口頭弁論が開かれ、前回に続き被告の業者が出廷しなかったため、すべての審理を終えて結審した。判決の言い渡しは7月28日に決まったが、業者側が訴状に反論せず、出廷もしなかったことから、町が勝訴するとみられる。
ただし、町が勝訴したとしても賠償金が支払われる見込みがないことから、業者側の財産を差し押さえるためには、訴訟とは別に強制執行の手続きが必要になる。
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