【視点】屋久島町議会、黙殺する町政の諸問題で相次ぐ訴訟沙汰
国庫補助金返還、町営牧場過労死……町議会はすべて見て見ぬふり
百条委員会否決の出張旅費不正は刑事事件に発展

屋久島町政に対する訴訟が相次いでいる。
国庫補助金返還の責任をめぐる住民訴訟、町営牧場過労死の損害賠償請求訴訟などなど……。
どの問題も調査や検証がなされないまま放置され、町民や遺族らが業を煮やした末に提起した裁判ばかりだ。荒木耕治町長ら町幹部が無責任であるが故の結果だが、それに輪をかけて無責任なのは屋久島町議会(石田尾茂樹議長)である。町政を監視する責務があるにもかかわらず、いずれも見て見ぬふりを続け、問題の解決を司法に丸投げしているのだ。

虚偽の工事報告で補助金1668万円返還、町議会は調査・検証せず
水道工事の国庫補助金1668万円を返還したのは、町が虚偽の工事完成日を国に報告したからである。住民訴訟では荒木町長の賠償責任が一部で認められたが、残りの損害1330万円は責任の所在が明確にならなかった。そのため町は「補助金返還の責任は工事が遅れた業者にある」と主張し、業者を提訴して賠償請求。7月28日に勝訴はしたものの、業者に連絡が取れないまま訴訟審理が進んだため、賠償金が支払われる見込みは立っていない。
国への虚偽報告が発覚したのは2021年11月だが、それから約4年8カ月、この問題で町議会が荒木町長らを追及したことは一度もない。一部の町議が一般質問で取り上げたことはあるが、町議会として特別委員会などで調査・検証することはなかった。

公務災害で職員が亡くなっても沈黙
また、町営牧場で職員の田代健さんが亡くなった問題については、地方公務員災害補償基金が過労死による公務災害と認定している。ところが町は死亡事故を調査することなく、一方的に「過重労働はなかった」と主張して、基金の認定事実をすべて否定。そのため、やむなく遺族は町に約7000万円の損害賠償を求めて提訴した。
国庫補助金の問題と並び、牧場職員の命が失われる事態に陥っても、町議会は何も動かなかった。田代さんの死亡について複数のメディアが報じても、町議会はその事実を黙殺。公務災害と認定された後も、荒木町長ら町幹部が公表しないのをいいことに、じっと黙り続けている。

存在意義が問われる機能不全の町議会
かつて刑事事件となった町幹部による出張旅費不正精算事件もそうだが、町政を揺るがす問題が起きても、町議会が主体となって調査・検証することは一切ない。一部の町議が調査特別委員会(百条委員会)の設置を提案しても、町長派の町議たちが反対多数で否決してしまうのである。

職員の尊い命が失われても黙殺する――。
すでに機能不全に陥っている屋久島町議会だが、ここまでくると、もはや存在する意義自体が世に問われることになる。
いま屋久島町議会に在籍している町議14人は、この事態をどう思っているのか。
やがて町政をめぐる訴訟は終わり、一つずつ司法の判断が下されることになるが、それでも町議会は黙殺するつもりなのだろうか?
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