森林環境譲与税3270万円で森林整備と木材利用を推進
荒木町長「屋久島の森林を利用と保全の両輪で守っていくことが責務」
寺田久志町議/町議会定例会 一般質問

屋久島町議会の寺田久志町議は12月10日の定例会で、「これからの屋久島の森林」「森林環境税の使途」「屋久島町内における防災対策」について一般質問をした。
寺田町議の質問に対する荒木耕治町長の答弁は次のとおり。
1 これからの屋久島の森林について
寺田町議:令和7(2025)年度から令和8(2026)年度にかけて「森林ビジョン策定業務委託」を実施過程ですが、これからの屋久島森林のビジョンを委託内容とは別に「屋久島町」としてどのように考えているか。
荒木町長:初当選、おめでとうございます。初心を忘れずに、屋久島町発展のために共に頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それでは、寺田久志議員の質問にお答えをします。
本町の森林資源は、杉を中心とした人工林が木材資源として利用する時期を迎えています。これらを受けまして素材生産量は増加傾向にある一方、木材価値の価格の長期的な低迷のほか、島内における木材需要の低迷などが課題となっており、島内での木材活用促進や付加価値向上のほか、高効率な島外出荷が重要視されているところであります。
このような状況を打破すべく、間伐材等の島外出荷に取り組んでおりますが、内地と比較して輸送にコストがかさむため、森林所有者への還元が少ない現状であります。
海上輸送にコストがかさむ離島においては、価格的に有利な販売先の確保や、これらに対応した生産・出荷体制の構築、島内での利益率を高める取り組みなど、関係者間での情報共有が重要となっております。
また島内需要を高める取り組みとして、住宅建築に島内産材を活用した場合に支給される補助制度や、木を活かした情操教育の普及、いわゆる木育の推進につきましても、地元関係者と共に取り組んでいるところであります。
離島がゆえの地理的不利な条件下にある本町の林業・木材産業の振興を図っていくためには、世界自然遺産に登録された屋久島の特異な森林資源の有効活用や、自然環境に配慮した森林情報整備、および利用計画等を策定し、持続可能な林業・木材産業振興に向けた取り組み方針を発信していく必要があります。
今年度から翌年度にかけて策定中であります「屋久島 森と人との共生ビジョン」、いわゆる「森林ビジョン」につきましては、世界自然遺産の屋久島の林業について島内および外部に発信していくことを目的としております。
具体的には、適切な森林管理によるCO2等の吸収量をクレジットして国が認証し、それを販売するJ-クレジット制度や、環境省が掲げる2030年までのネイチャーポジティブ、いわゆる自然を回復軌道に乗せるために生物多様性の損失を止め、反転させる動きのための実現と、このために陸と海の30%以上を保全する30 by 30の方針を組み合わせた森林ビジョンを策定することで、賛同される企業や関係機関等の協力を得ながら、森林資源の活用と保護の両面にわたる取り組みを推進していく方針であります。
屋久島には、他の地域とは比較にならないほどの、森林に関わる深く、長く深い歴史があります。また、自然や野生動物と人々が共生する島としての、世界遺産としての冠もございます。これらを受けまして、世界遺産登録後の観光客数も増加してまいりました。
一方で人間がもたらす自然への負荷や、シカ・サル等による様々な被害も深刻化していますので、このような問題を解決するための、屋久島独自の森づくりの取り組みを進める必要があると認識をしております。
屋久島の森林を利用と保全の両輪で守っていくことが、ここに住む我々の責務だと考えておりますので、地域の森林整備の中核的担い手である森林組合や、林業・木材産業に従事する方々をはじめ、他の産業の方々との連携を図りながら推進をしていく考えであります。
2 森林環境譲与税の使途について
寺田町議:令和元(2019)年から環境譲与税として各区市町村に配分をされ、令和6(2024)年度より国民から環境税として徴収が開始された。この税は森林等における脱炭素社会実現のための財源であるが、現状と今後の使途についてお示しいただきたい。
荒木町長:森林の擁する公益的機能は地球温暖化の防止のみでなく、国土の保全・水源涵養等といった、国民に広く恩恵を与えるものであり、適切な森林の整備等を進めていくことが重要視されているところであります。
一方で森林整備を進めていくにあたり、所有者や境界が不明な森林の増加、林業・木材産業に従事する担い手の不足等が大きな課題となっており、離島である本町においては、本土と比較してもより深刻な状態であります。
このような状況のもと、2050年の脱炭素社会の実現へ向けた国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から創設をされ、令和元年度より先行して譲与された森林環境譲与税を活用し、様々な事業を実施しているところであります。
初年度は1000万円弱の譲与額でありましたが、段階的に増額配分をされ、今年度は約3270万円が譲与をされます。このような増額配分に合わせ、本町におきましても関係者の意見集約を図りながら年次的に事業を拡大させ、取り組んできたところでございます。
具体的な新規事業としましては、森林整備等に関するメニューとして皆伐地の再造林のための苗木生産補助や、森林整備促進を図るための林道の維持管理費用の助成のほか、間伐材等の陸送・運搬にかかる費用の一部補助、林業機械リース費用の費用および購入やGPSと測量機器の機材導入費用の一部補助等を行っています。また、林業就業者の育成を目的として、林業に係る各種研修や資格取得等の費用を一部補助することで、担い手の確保を図る取り組みを推進しております。
さらに、木材利用促進や普及啓発活動を目的としたメニューとして、新生児への木材製品贈呈事業や、主に幼児や小中学生を対象とした、木育インストラクターによる木の温もりや森林整備の大切さ等を学ぶための普及啓発活動を展開しながら、島内産材の魅力を島内外に発信をしているところです。
その他、既存事業であります、民有林による間伐事業に対する上乗せ補助率の増加や、島内産材の活用促進を目的とした住宅建設等にかかる補助のほか、松くい虫の被害に対する防除等の費用にも一部活用をしているところです。また、植林された木材のほとんどが利用期を迎えていることから、皆伐に伴う費用の補助も新規メニューとして今回の議会に補正予算として上程をしているところであります。
これらは木材利用の促進等によって相乗効果を高めることと、森林所有者への還元を高めることで、森林整備等を進めていくことを目的とした取り組みでございます。
3 屋久島町内における防災対策について
寺田町議:近年、県内において地震や集中豪雨が多発しているが、屋久島町における防災(地震・津波・大雨・火災)対策と取組について。
荒木町長:本町における防災対策の取り組みについてですが、本年は平成27年の口永良部島噴火より10年を迎えたことから、発生日である5月29日を「屋久島町防災の日」と定めたところです。
防災の日は、口永良部島噴火での経験と教訓を忘れることなく次世代に継承し、地震災害や豪雨災害に対する防災意識の高揚を図るとともに、町民との共同による災害に対する備えを充実強化することで減災を図り、安全で安心なまちづくりを推進することを趣旨に定めており、各集落における防災訓練の実施や、町民の方々がお住まいの集落でどのような被害が想定され、どのような避難行動を取る必要があるのか、また、日頃の備えについて防災マップなどを参考に今一度考えていただく機会としております。
この防災の日の制定に先立ち、4月に開催された行政事務連絡会において、各集落区長へ防災訓練等の取り組みを実施していただくよう依頼をいたしました。その結果、実施日は異なるものの、集落内の防災点検や避難訓練、防災講演会など各集落で様々な活動を行っていただき、避難訓練等の実働訓練を実施または実施予定の集落が12集落、集落内の防災点検や防災講演会を実施した集落が4集落と、16集落がなんらかの活動を実施しております。
こちらにつきましては、今後町内全体での防災訓練の実施や研修会・講演会等を実施し、一人でも多くの方が自分事としての意識を持ち、事前防災の取り組みや、災害時に迅速な避難行動がとれる体制づくりを図ってまいりたいと考えています。
次にハード面での整備状況ですが、令和6年度では主に河川の改修工事を5件、楠川港の改修工事を1件実施しており、いずれも大雨による河川氾濫の対策、台風等による高波対策を目的に実施をしており、今年度も7件の河川改修事業を実施しております。
また、施設の状況についても、出水期前に宅地付近の河川等では点検を行い、大雨や台風時にはパトロールを実施して維持管理を務めております。なお、鹿児島県管理河川については、熊毛地域流域治水協議会や、日常から河川担当者レベルでの情報交換を図ることで、災害時等に迅速な連携が取れるよう努めております。
最後に火災対策についてでありますが、11月18日、大分県でも大火にみまわれ、12月1日現在で死者1名、負傷者1名、建物被害182棟の被害が出ており、現在でも多くの方々が避難生活を余儀なくされています。心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
本町におきましても、消防体制の充実強化は安心安全なまちづくりを図るうえで重要な課題であると考えており、消防士機材の整備や、水利の不足が懸念される地域については消防団や集落等の要望を踏まえ防火水槽を設置し、水利確保を年次的に進めております。 なお、消火栓などの設備につきましても消防団各班に一斉調査を行い、水利の現状把握に努め、優先順位を付して修繕等の対応を実施しているところです。
今後も各集落や消防団等、関係機関と連携をし、消防水利の拡充を図ってまいりたいと思っております。
