【視点】着手金だけで544万円、屋久島町民に重くのしかかる裁判費用
国への虚偽報告や職員の過労死などで続く裁判沙汰
訴訟4件、成功報酬などでさらに高額な支出も

訴訟代理人の着手金だけで、屋久島町政をめぐる裁判の費用は544万円――。
国庫補助金弁済請求訴訟の記事を書く際に、町が関わる過去の裁判記録も調べたところ、そんな重い負担が町にのしかかっていることがわかった。訴訟は計4件。いずれも一審判決前なので、裁判の結果次第では、さらに高額な成功報酬などを支払う必要がある。
そして当然だが、この訴訟費用は町の公費から支出されるため、すべてを屋久島町民が負担することになる。
そこで、これまでの取材記録を見返すと、どれも裁判沙汰になるような案件ではないことがわかる。
工事未完成なのに「すべて完成」と国に虚偽報告
まずは国庫補助金弁済請求訴訟。これは水道工事の補助金を申請する際に、町が国に虚偽の工事完成日を報告したために、国から補助金など約1668万円の返還命令が出たことが原因だ。
町は工期内に完成できなかった工事業者の責任だとして、返還した補助金の全額を業者に賠償請求するという。だが、そもそも国に嘘をついたのは町である。補助金を受け取る前に、町は工事が未完成なのを知っていたのだから、もし正直に国へ報告していたら、補助金の返還命令は出なかったであろう。

過重労働死、公務災害の認定事実を否定
町営牧場で町職員が亡くなった問題をめぐる過重労働死訴訟では、雇用主としての責任を取らない町の姿勢が問題となった。
この死亡事故について、地方公務員災害補償基金は過重労働による公務災害だと認定したのだが、町は「過重労働はなかった」と主張。実質的に公務災害の認定事実を否定したため、遺族が約7000万円の損害賠償を求めて提訴した。
だが、もし町が公務災害の認定事実を認めて謝罪していれば、遺族が提訴に踏み切ることはなかったであろう。

1700万円で海底清掃したのに潜水したのは2時間だけ
さらに2件の住民訴訟も、訴訟沙汰になるのは避けられた案件である。
海底清掃事業の住民訴訟は、町がふるさと納税の寄付金1700万円で海底のごみを清掃すると公言していたのに、実際に潜水したのは2時間だけだったことが発端だ。
寄付金の使途は環境保全に指定されていたが、いざ事業が終わってみると、1700万円の大半は屋久島の魅力を伝える観光ガイドの冊子と動画の制作費に使われていた。そこで、町議会では「寄付者の善意を裏切る支出だ」と異論が出たが、町は観光広報事業も環境保全につながるなどと反論。やむなく町議が原告となり、荒木耕治町長ら町幹部に1700万円の賠償を求めて提訴した。

合理的な理由なく市民メディアを議会から排除
そして最後の「議会取材の自由を守る訴訟」は、全くもって訴訟にはるはずもなかった問題だ。
事の始まりは、屋久島町議会の石田尾茂樹議長が屋久島ポストの議会取材を拒否したことだった。「議会取材はマスコミの報道機関に限る」というのが理由だったが、屋久島ポストはどこの報道機関よりも、屋久島町政について詳しく報じている。それにもかかわらず、石田尾議長はマスコミだけに取材許可を与え続けたため、屋久島ポストは憲法が保障する「表現の自由」や「法の下に平等」に反するとして提訴した。
ところが今現在、一転して石田尾議長は屋久島ポストの議会取材を認めている。つまり、屋久島ポストを議場から排除する合理的な理由はなかったということである。

裁判費用は町幹部に負担に
・国に嘘をついて補助金をもらう。
・仲間の町職員が過労死しても責任を取らない。
・寄付者が望むとおりに寄付金を使わない。
・まともな理由もなく市民メディアを議会から排除する。
こんな対応をいつまでも続けていると、屋久島町民が支払う訴訟費用は膨れ上がるばかりだ。そして、すべては町役場の責任なのだから、荒木町長ら町幹部の財布から支払ってもらってはどうだろうか。
どうか、これ以上の無駄な公費負担は勘弁してほしい。
