長期入院の屋久島町長、「レベル5土砂災害特別警報」でも病室で避難指示などを判断
荒木町長、9月5日の大雨災害時も「病室から24時間体制で対応」
町長指示、入院した事実と病名・病状は非公表
高市首相が直接SNSで町民に注意を呼びかけているのに……

屋久島町の荒木耕治町長が「体調不良」で長期入院している問題――。
その後の取材で、台風24号などの影響による大雨で9月5日に「レベル5土砂災害特別警報」が同町に発表された際に、地方自治法で定められた「職務代理者」を置かずに、荒木町長が入院中の病室で災害対応に当たっていたことがわかった。
岩川茂隆副町長は屋久島ポストの取材に対し、「公務に支障が出るような病気ではなく、対応は十分可能だった」と説明。だが、刻々と状況が変わる災害対応では、町長が自ら24時間体制で公務に当たる必要があり、病室からの対応には限界がある。また町長からの指示で、病名や病状だけでなく、入院している事実も非公表とされており、町民1万1000人の命を預かる地方自治体としては、不安が残る危機管理体制だった。

入院前「口にしびれがある」「耳鳴りがする」
岩川副町長によると、荒木町長は8月10日に開かれた臨時議会に出席したのち、体調不良で8月12日から入院した。症状として町長は、入院前から「口にしびれがある」「耳鳴りがする」と言って、脳神経外科などに通院。その後に別の病気が見つかり、長期で入院することになったという。
1カ月以上にわたって町役場を離れるにあたり、荒木町長は病名や病状、入院している事実について、町民に「言う必要はない」と町幹部に指示。その一方、町長に代わって職務を行う「職務代理者」は置かず、町長が病室で公務に当たるという判断をしたという。

「公務に支障がある病気ではない」と職務代理者を置かず
地方自治体の首長が不在になった場合の対応について、地方自治法152条は次のように定めている。
「普通地方公共団体の長に事故があるとき、又は長が欠けたときは、副知事又は副市町村長がその職務を代理する」
しかし、荒木町長や岩川副町長ら町幹部は、「公務に支障がある病気ではない」ことから、法的に定められた職務代理者を置く必要はないと判断。首長として判断が必要な場合は、副町長ら幹部が病室に電話をかけて、町長から指示を受けることにした。
記録的な大雨でも病室で災害対応
入院から24日目となる9月4日には、台風24号や秋雨前線の影響で種子島・屋久島地方は記録的な大雨に見舞われた。だが、その時点でも町は職務代理者を置かずに、荒木町長が病室で公務を継続。9月5日午前5時10分には、気象庁が「レベル5土砂災害特別警報」を屋久島町に発表したが、町長はその警報に対する対応も病室で続け、避難指示などの判断をしたという。

高市首相、SNSで「自治体の指示に従って」
一方、この警報を受けて、高市早苗首相は同日午前6時前にSNSに投稿。「自治体の指示に従い、直ちに身の安全を確保してほしい。避難所までの移動がかえって危険な場合は無理をせず、今いる場所よりも少しでも安全な場所に移動するなど、命を守る行動を最優先してほしい」などと、屋久島町民らに呼びかけている。

内閣府マニュアル「一刻も早く駆けつけ、市町村長が陣頭指揮を」
内閣府が各自治体に示した「災害時における市町村長の危機管理」と題する動画マニュアルによると、災害時に最も重要な事項として、次の内容が紹介されている。
「最悪の事態を想定し、一刻も早く本庁舎などに駆けつけ、市町村長が陣頭指揮を執ることが重要である」

副町長「公務に支障がある病気ではない」
高市首相がSNSで屋久島町民に直接注意を呼びかけるような事態になっても、荒木町長が職務代理者を置かなかったことについて、岩川副町長はこう説明する。
「公務に支障がある病気ではなく、病室からでも24時間体制で対応が可能であり、9月5日の大雨でも問題なく対応できた」
屋久島ポスト「副町長を職務代理者にするべきだった」
それに対し、屋久島ポストは「大雨や被害の状況が刻々と変わる災害対応を、入院中の町長が24時間体制でやるのは極めて困難で、副町長を職務代理者にするべきだったのではないか」と指摘。屋久島町で暮らす一住民としての不安を伝えた。
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