【展望2026】市民と各メディアの協力で より良い社会づくりの報道をめざします!
屋久島町政、町営牧場の過労死や補助金不正受給などで訴訟4件
垂水市、児童施設で盗撮被害50人の可能性でも沈黙の無責任
メディアの報道を支える読者の情報提供

静かに新しい年が明けました。2026年も屋久島ポストと鹿児島ポストは、地元に根を張ったローカルメディアとして、市民の皆さまに寄り添った報道を続けていきます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、年頭の記事として、私たち編集委員会が報じるべき、この一年の主な課題を伝えさせていただきます。
まず、屋久島ポストについては、屋久島町が抱える4件の訴訟が大きなテーマになります。
荒木町長の和解拒否で訴訟は長期化
屋久島町営牧場で町職員が過重労働で死亡した問題をめぐる損賠賠償請求訴訟は、提訴から2年3カ月が過ぎましたが、鹿児島地裁が示した和解案を荒木耕治町長が拒否したため、さらに長引くことになりました。
この職員の死亡について地方公務員災害補償基金は、過重労働が原因で心筋梗塞を発症したとして、民間の労働災害にあたる公務災害と認定しています。町が職員の勤務時間を管理していなかったことも判明し、町に一定の管理責任があったことは明らかです。しかし、町が「過重労働があったという認識はない」と主張したため、遺族が約7000万円の損害賠償を求めて提訴しました。
昨年11月に示された和解案は、町が遺族に解決金4000万円を支払うもので、亡くなった職員に哀悼の意を捧げるとともに、適正な労働管理で再発防止に努めることを求める内容です。すでに公務災害が認定されていることを踏まえれば、町は和解案に応じると思われましたが、荒木町長は納得せずに判決による解決を求めました。
今後の訴訟審理では、亡くなった職員の元同僚や町職員らの証人尋問が行われます。町営牧場を所管する産業振興課の元課長らがどのような証言をするのか。荒木町長が法廷に呼び出される可能性もあり、関係者の証言が注目されます。
海底清掃事業「浄財を屋久島町に託した善意を裏切る事業」
その一方、ふるさと納税の寄付金1700万円で町が実施した海底清掃事業をめぐる住民訴訟は、原告と被告の主張がほぼ出そろい、今年中には判決が出る見通しです。
町は1700万円もの寄付金を海底清掃に使うと公言しておきながら、実際に海底で清掃したのは計2時間だけで、回収したごみの総量も報告していません。それでは寄付金を何に使ったのかといえば、旅行大手JTBの関連会社「JTBパブリッシング」が提案した企画を丸呑みして、屋久島の魅力を伝える観光ガイドの冊子や動画の制作費に1700万円の大半を充てていました。
原告の町議は「屋久島の自然を守って欲しいと願い、浄財を町に託した人たちの善意を裏切る事業だった」と訴えています。
市民メディアを「報道でない」と差別する屋久島町議会
屋久島町議会(石田尾茂樹議長)が屋久島ポストの議会取材を拒否した問題をめぐる国家賠償請求訴訟も、2月の期日に予定される屋久島ポスト側の反論を踏まえ、判決に向けて審理が進む見込みです。
石田尾議長は新聞やテレビのマスコミには取材を許可する一方で、市民メディアは「報道機関ではない」として取材を拒否しています。これに対し、私たち編集委員会は「法の下の平等や知る権利を保障した憲法に反する判断」だと主張して、町に「1円」の賠償金を求めています。
日ごろから屋久島町議会を取材するマスコミは皆無に近く、詳しく報道しているのは屋久島ポストだけです。それなのに、なぜ石田尾議長は屋久島ポストを議場から排除したのか。この訴訟では、町民に開かれた議会を実現するためにも、石田尾議長の判断の違憲性を立証したいと考えています。
補助金返還、国への虚偽報告が原因でも「業者の責任」と主張
そして、4件目となるのは、屋久島町が国庫補助金を不正に受給した問題をめぐる損害賠償請求訴訟です。
町は水道工事の補助金を国に申請する際に、実際には工事が完成していないのに、「すべての工事が終わった」と虚偽の報告をしたとして、加算金を含む補助金約1668万円の返還を命令されました。これを受け町は、補助金の返還に至った法的責任は「約束の工期内に工事が終えられなかった業者にある」として、複数の業者に弁済を要求。そのうちの1業者が応じなかったため、町は約1330万円の賠償を求めて提訴することを決めました。
この事件は屋久島ポストの取材で4年前に明らかになり、取材に応じたある業者は「工期内に完成できないことを担当職員に報告していた」と証言しています。もし、それが事実であれば、補助金返還の法的責任は、予算の繰り越しをせずに虚偽報告をした町にあるはずです。ちなみに、この事件をめぐる住民訴訟では昨年、加算金135万円について荒木町長の賠償責任が最高裁で認められています。
町は1月中にも提訴する予定で、どのような主張を展開するのか、訴状の内容が注目されます。
屋久島町政については、ごみ処理施設の運営管理費の高騰や、多目的交流センターの建設計画に伴う屋久島町総合センター・大ホールの存続問題など、この他にも数多くの課題があります。いずれも町民の暮らしに深く関わるテーマなので、屋久島ポストは丁寧な報道を心がけていきます。
垂水市、児童施設の盗撮事件を報告せず謝罪もなし
次に鹿児島ポストについては、垂水市が設置する児童施設で2024年9月に起きた盗撮事件が大きな課題になります。
事件後、垂水市が施設管理を委託する公益社団法人の男性職員が逮捕され、まずは児童10人を盗撮した罪で有罪判決を受けました。続いて、その職員が約4年にわたって更衣室で盗撮を続けていたことが判明し、さらに40人の児童が被害に遭っていた可能性が明らかになりました。
ところが、垂水市は被害児童の保護者に謝罪や補償の話をすることなく、事後対応を委託先の法人に一任し、実質的にこの事件を放置し続けています。また、盗撮事件があったという事実を含めて市民に報告や謝罪を一切せず、市としての再発防止策も講じないまま、これまでと同様に児童施設の運営管理を同じ法人に委託しています。
全国の学校などで盗撮事件が多発し、大きな社会問題となっているなかで、なぜ垂水市の児童盗撮事件は広く知られないまま、何も問題にならないのか?
この垂水市の対応に対し、被害に遭った児童の保護者は大きな疑問を感じています。さらには、垂水市の児童施設で二度と同じ事件が起きないようにするためにも、保護者たちは垂水市の管理責任を追及する方針です。
読者と各メディアが連携する報道ネットワーク
最後になりますが、屋久島ポストと鹿児島ポストは2025年11月、西日本新聞社が提唱した読者参加型のオンデマンド調査報道ネットワーク「JOURNALISM ON DEMAND(JOD)」に加盟しました。JODは「読者とつながり、全国各地のローカルメディアとつながって、より良い暮らしや地域・社会につなげたい」と願う報道機関が参加する取り組みで、全国37社・団体の40メディア(2025年11月時点)が加盟しています。
私たち編集委員会としては、このJOD加盟をきっかけにして、市民メディアとマスメディアが連携できる取材体制を築ければと願っています。そのためには、読者の皆さんからの情報提供は欠かすことができません。
一般市民と市民メディア、そしてマスメディアがともに協力しながら、より良い社会をつくるための報道につなげていく。
そんな思いで、屋久島ポストと鹿児島ポストは2026年も取材を続けていきます。
