【展望】失われた町民の1330万円、屋久島町議会は百条委員会で責任を明確にすべき

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工事未完成で代金を前払いした責任は誰にあるのか?

契約した工事は完成、業者に債務不履行なし

業者不在の裁判では賠償されない国庫補助金

【左】屋久島町議会【右】工事が未完成の段階で屋久島町に提出されたとされる請求書。この請求書を受けて、町は2021年5月28日に工事代金を業者に前払いした

屋久島町が水道工事で虚偽の工事完成日を報告して、国から補助金の返還命令を受けた事件をめぐり、町が補助金返還の責任は「工事遅延を招いた業者にある」として、返還額の一部である約1330万円を町内の業者に賠償請求した民事訴訟――。

鹿児島地裁で7月28日に言い渡された判決で、屋久島町は勝訴した。ところが、肝心の賠償金1330万円が支払われる見込みは立っていない。業者が裁判に一度も出廷せず、連絡も取れずに音信不通だからだ。

そうなると、次なる手段は業者の財産を差し押さえる強制執行になる。だが、もし賠償金に見合う財産がなかったり、多くの負債を抱えていたりすれば、1330万円を取り立てることはできない。

鹿児島地裁=屋久島ポスト撮影

国、町の虚偽報告で補助金返還を命令

失われた公費1330万円はどうなるのか。もし、損害が回復されなければ、その全額は屋久島町民が負担することになるのだが、そんな理不尽な話があってはならない。

そもそもだが、国から補助金の返還命令を受けた直接の原因は、町が虚偽の工事完成日を報告したことにある。実際には工事が未完成なのに、補助金の受給要件だった2021年3月末の工期内で、「すべての工事が終わった」と嘘をついたからだ。そして、工事が終わってもいないのに、町は同年5月28日に請負代金の全額を支払ってしまったのである。

屋久島町が国に提出した水道工事の検査調書。工事が未完成の段階で、すべての工事が完成したと虚偽の内容が記載されていた ※黒塗りは屋久島町、モザイクは屋久島ポストが、それぞれ加工しました

損害1330万円の責任は町にある

実際に工事が終わったのは8月半ばすぎで、業者にしてみれば、工期には間に合わなかったが、契約どおりの工事は終えたことになる。工事未完成での前払いではあったが、請負代金に見合うだけの工事はしっかり完成させており、いわゆる債務不履行はないといえる。

そう考えると、1330万円の損害が出た責任は、業者ではなく、町にあると言える。

2021年3月末までに工事が完成しなければ、国の補助金は受給できない決まりになっていた。それを十分に認識したうえで、町は工事の完成を確認することなく、同年5月28日に請負代金を前払いしているからだ。

工事が未完成の段階で屋久島町に提出された請求書。この請求書を受けて、町は2021年5月28日に工事代金を業者に前払いした=※黒塗りは町、モザイクは屋久島ポストがそれぞれ加工しています

工事未完成で前払いしなければ損害なし

そして明確に言えるのは、もし町が5月28日に前払いをしていなければ、いま損害となっている1330万円は町の手元に残っていたということだ。その全額を国に返還したとしても、町には何ら損害はない。裁判で町が主張したとおり、損害の責任を負うのは業者ということになり、損害賠償請求訴訟を起こす必要もなかったのである。

判決から2週間以内に業者が控訴しなければ、一審判決が確定する。だが、それでも損害は町に残るので、そのまま放置することはできない。

では、どうすればいいのか。

強い調査権がある百条委員会で調査を求める

ここから先は、町政を監視する責務がある屋久島町議会の出番だ。この事件を独自に調べる調査特別委員会(百条委員会)を設置し、補助金を返還した責任の所在を明らかにしたうえで、失われた町民の公費1330万円を取り戻すことが強く求められる。

2025年9月の屋久島町議選で当選したのち、記念撮影する町議14人=2025年9月22日、屋久島町役場・議会棟、屋久島ポスト撮影

百条委員会は地方自治法で定められた制度で、関係者を証人喚問したり、記録文書の提出を求めたりできるなど、強い権限を地方議会に与えている。

このまま黙って、1330万円の損害を屋久島町で暮らす全町民に負担させるのか。

それとも、責任の所在を明らかにして、しかるべき関係者に賠償を求めるのか。

次の町議会9月定例会では、この補助金不正請求事件は最大の議題の一つとなる。14人の町議には、心して議会の審議に臨んでもらいたい。

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