【視点】「無断欠勤」40日超、いつ屋久島町長は町ウェブサイトなどで報告するのか?
荒木町長、公務復帰後も長期入院の事実を広報せず
違法でなければ町民に黙っていていいのか?
長島町長と杉並区長が果たした住民への説明責任

屋久島町長の荒木耕治氏(76)は8月12日に体調不良で入院し、その事実を町民に隠したまま、1カ月以上にわたって町役場を長期不在にした。その間には台風24号などの影響による大雨で、「レベル5土砂災害特別警報」が町に発表。だが、それでも荒木氏は地方自治法に基づいて町長職を代行する「職務代理者」を置かず、町民に入院していることを黙ったまま、病床から町民の避難指示などを判断した。
「今後は反省したい」と言っていたが……
屋久島ポストは9月29日、約50日ぶりに公の場に姿を見せた荒木氏を直接取材し、「長期入院について町民に広報するべきだった」と指摘した。
それに対し、荒木氏はこう答えた。
「そういうことであれば、今後については反省したい」
だが、それから2週間が過ぎても、町長の長期入院を報告する記事は町ウェブサイトに掲載されていない。10月9日には広報誌の「町報やくしま」10月号が配布されたが、全19ページのどこを見ても、やはり荒木氏の長期不在を伝える記事は見当たらない。もしやと思い、18ページにある「町長の動向」欄を確認してみたが、載っているのは、10月15日以降に滋賀県や東京都などに出張する予定だけだった。
このまま荒木氏は、自身の「無断欠勤」を町のウェブサイトや広報誌で報告しないつもりなのか? もし、そうであれば「今後については反省したい」という自省の言葉は何だったのか?

長島町長の長期入院、ウェブサイトと広報誌で報告
荒木氏と時期を同じくして長期入院した鹿児島県長島町の川添健町長(82)は、9月3日に町ウェブサイトに「川添町長の療養について」と題する記事を掲載し、自身の長期不在を町民に知らせた。さらに「広報ながしま」10月号でも、ウェブサイトと同様の記事を顔写真付きで載せて、「皆さまにはご心配をおかけいたしますが、ご理解を賜りますようお願い申し上げます」と町民に呼びかけている。
この長島町長の対応は、多くの住民の命と暮らしを預かる地方自治体の首長として、至極当然な姿勢だろう。

杉並区長の長期休暇、記者会見とウェブサイトで報告
そして、それは鹿児島県外に目を向けても全く同じだ。
リベラル・市民派の首長として知られる東京都杉並区の岸本聡子区長(52)は、今年6月に2期目の当選を果たしたのち、記者会見で23日間にわたって長期休暇を取ることを明らかにしている。記者の質問に対し、「(家族と)離れて住んでいますので、次男のケアのために時間をしっかり使いたいというのが一義的な事情です」などと、個人的な理由を含めて丁寧に説明したのだ。
さらに記者会見後の7月13日には、区ウェブサイトに「2期目の就任にあたりまして」と題する記事を掲載し、次のように長期休暇について説明している。
「会見の最後に、海外に暮らす家族をケアするため、7月13日から8月4日まで、長期不在となることについても発表させていただきました。不在期間中の区政運営につきましては、デジタル技術を最大限に活用し、必要な指示や意思決定を行うことができる体制を整えております。大規模災害などの緊急事態が発生した場合には、即時帰国することとしております」
長島町長と杉並区長の姿勢を見ていると、この二人の視線の先にあるのは、いずれも自身が責任をもって守るべき町民や区民だということがわかる。自分が住民によって選ばれた首長であることを自覚して、しっかりと説明責任を果たしているのである。

長期入院、町幹部に口止めする町長の「自己保身」
それに対し、屋久島町長の荒木氏はどうか?
入院するにあたり、岩川茂隆副町長ら町幹部に「町民に(入院について)報告する必要はない」と言って、口止めを指示していたというのだから、荒木氏の眼中に町民がいないことは明らかだ。そして、その指示の背景にあるのは、長期入院した事実を隠したいという「自己保身」であることは言うまでもない。

町長、丸一年を無断で休んでも年収1000万円超
一般職員と違い、特別職の町長が長期にわたって「無断欠勤」しても、法的には問題ない。今回は40日以上も町役場を留守にしたが、町長の月給である約76万円は満額で支給される。そうなると、もし丸一年を何も報告せずに休んだとしても、賞与を含めた1000万円超の給与は、しっかりと荒木氏に入るということである。
それでは、どうして特別職の勤務を管理するルールが存在しないのか?
それは選挙で選ばれた首長が、まさか住民に何も報告しないまま、1カ月以上も不在になるはずはない、ということが前提になっているからだ。それをいいことに、荒木氏は自身の長期入院を町民に隠そうとしたのだろう。

町長の「無断欠勤」、違法ではないけれど……
たとえ長期にわたって町を不在にしても、その事実を町民に報告する法的な義務はない――。
法律顧問の町法務事務専門員に相談すれば、荒木氏はそんな主張をして、自身の正当性を主張するだろう。だが、違法かどうかに関係なく、首長には住民への説明責任がある。それは長島町の川添町長と杉並区の岸本区長の対応を見れば、全くもって当然のことである。
さて、荒木氏は長期入院について、いつになったら町のウェブサイトや広報誌で報告するのだろうか?
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