長期入院した屋久島町長の公務記録、町幹部が作成を怠る
台風24号の災害対応、個人の携帯電話のみの連絡で公的記録は一切なし
副町長ら幹部8人、町長からの電話指示をメモ書きもせず
町「個人の携帯電話に残された情報は公文書ではない」と非開示

屋久島町の荒木耕治町長(76)が長期入院した事実を町民に隠したまま、約1カ月半にわたって町役場を不在にした問題をめぐり、入院中に町長が公務をしたことを記録した文書が残されていないことが、町総務課への取材でわかった。町長は病室から「常に携帯電話等で直接指示を行っていた」としているが、指示を受けた町幹部は手書きのメモも含めて何一つ記録を残さず、公文書の作成を怠っていた。
荒木町長は入院中も地方自治法で定められた「職務代理者」を置かず、9月5日に「レベル5土砂災害特別警報」が出された台風24号の対応にも、「病室から24時間体制」で当たったとされる。だが、実際にどのような指示をいつ出したのかは一切わからず、地方自治体の危機管理体制としては極めて杜撰な対応となった。

荒木町長、入院中に公務用メールも使わず電話連絡のみ
荒木町長が約1カ月半ぶりに公務に復帰したことを受けて、屋久島ポストは9月29日に町長が入院中に公務をしたことを示す記録文書を開示請求。町総務課が10月22日にメールで屋久島ポストに連絡し、公務記録の文書が残されていないことを明らかにした。
同課によると、荒木町長が入院した8月12日~9月17日の間に、岩川茂隆副町長、課長5人、係長2人の計8人が町長と直接連絡を取ったが、「全て個人の携帯電話によるものであり、この件に関する公文書(メモや記録)が存在しない状況」だという。また、町幹部らが町長と公務用メールでやり取りしたことは一度もなく、「台風24号時系列メモ」や町長が欠席した町議会9月定例会に関する文書は、すべて鹿児島県離島振興協議会のスタッフにメールで送り、病室に直接届けてもらったという。

公務に私用携帯電話を使うと公的記録は残されないのか?
これに対し屋久島ポストは、岩川副町長ら町幹部が「いつ」「何の案件」で、町長から「どのような指示」を受けたのかを知りたいと伝えた。だが、同課は「携帯電話のショートメールを含めて、個人の携帯電話に残された情報は公文書に当たらないため、開示することはできない」と答えた。
公務に個人の携帯電話を使った場合、その情報は公文書ではない――。
その主張が正しければ、荒木町長が私用のスマートフォンを使い、公務で重要な指示をショートメールや、「LINE」などのコミュニケーションアプリで出したとしても、それを公表する義務がないことになる。そうなると私たち町民は、実際の公務で町長がどのような判断をしたのかを、全く知ることができなくなる。
そんな疑念を抱きながら、屋久島ポストは「このままだと不在中に公務をした事実を立証する公文書がないことになり、町長は何も働くことなく、約80万円の月給をもらっていたことになる」と指摘。それに対し、同課の担当者は「公文書がない以上は、何も立証できないことは承知している」と答えた。
屋久島町長の長期入院「無断欠勤」問題
荒木耕治町長は2026年8月12日に体調不良を理由に、鹿児島市内の病院に入院した。その際に町幹部に対し、入院について「町民に言う必要はない」と指示。9月5日に台風24号などの影響による大雨で「レベル5土砂災害特別警報」が町に発表された際も、地方自治法で定められた「職務代理者」を置くことなく、「病室から24時間体制で災害対応に当たった」とする一方、町民には入院の事実を公表しなかった。
その後、町長は9月29日に町議会に出席し、約50日ぶりに公の場に姿を見せたが、町のウェブサイトや広報誌で入院の報告をしないまま公務を再開。その問題を屋久島ポストが指摘したところ、10月19日付で町ウェブサイトに「随想」と題する記事を掲載し、自身の入院と長期不在について報告した。
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