屋久島町政

【視点】町長の長期入院を知らせない屋久島町の「隠蔽体質」

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町から姿を消して40日、議会でも明かされない入院の事実

もし、大災害が発生したら町民の命を守れるのか?

それでも入院を知られたくない町長の事情とは?

記者会見で屋久島町の諸問題について話す荒木耕治町長=2026年6月10日、屋久島町役場、屋久島ポスト撮影

災害時などに屋久島町民1万1000人の命を守る荒木耕治町長が、町民に何も伝えることなく町役場から姿を消して40日が経った。だが、その間に留守を預かる岩川茂隆副町長が町長の不在について報告したのは、ただ一度きり、9月16日に開会した町議会定例会の初日だけである。

「町長が病気療養のため、(町議会を)欠席いたしております」

この報告をした時点で、すでに荒木町長は1カ月以上も入院し、ずっと町役場から離れていた。それにもかかわらず、岩川副町長は長期入院の事実や、今後の見通しを伝えることなく、こんな短い説明だけで報告を終えてしまったのである。

屋久島町の荒木耕治町長の体調不良について町議会で報告する岩川茂隆副町長=2026年9月16日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより

副町長「町長から報告する必要はないと言われている」

町議会の開会に先立つかたちで、9月10日に岩川副町長に取材したところ、荒木町長は体調不良を訴え、8月12日から入院しているということだった。だが、病名や病状だけでなく、入院している病院の所在地が鹿児島市内なのか、それとも東京や大阪などなのかも含めて、詳細は何も教えてもらえない。

なので、尋ねてみた。

「どうして、長期にわたって公務を離れている事実を町民に報告しないのですか?」

それに対し、岩川副町長は即答する。

「町長から報告する必要はないと言われているんです」

つまり、荒木町長から「口止め」されているということである。

屋久島町役場=屋久島ポスト撮影

町民に対し「無断欠勤」は許されない

しかし、1カ月以上も公務を離れるのに、その事実を町民に報告しないとなると、それは「無断欠勤」したのと同じだ。町幹部に報告したとしても、選挙で町民の負託を受けた町長には説明責任があり、黙って町から姿を消すことは絶対に許されない。

台風24号などの影響による大雨で、9月5日に「レベル5土砂災害特別警報」が町に発表された際に、荒木町長は「病室から24時間体制」で副町長らに指示を出していたという。だが、刻々と変わる災害の状況に対して、遠く離れた病室から迅速に対応するのは不可能だ。病室へはパソコンも持参しておらず、小さなスマートフォンだけで、どうやって国や鹿児島県などからの情報を把握し、的確な判断を下せるというのか?

大災害で犠牲者が出たら辞職は必至

ここは一つ、岩川副町長を町長の代行役にして、地方自治法に基づくかたちで「職務代理者」を置くべきだったのだ。それには事前に長期入院について町民に報告する必要があり、そのすべてを怠った荒木町長の責任は極めて重い。

もしも長期入院の間に、2015年に発生した口永良部島の爆発的噴火のような大災害が起きたら、どのように対応するというのか? 国や県に「実は町長は入院中でした」と事後報告し、対応が後手に回って犠牲者が出たとしたら、荒木町長の辞職は必至である。

爆発的な噴火を起こした口永良部島=2015年5月29日、屋久島うみがめ館撮影

町長は入院を隠したかったのか?

ここで推察できるのは、荒木町長は病気で入院した事実について、町民に隠したかったのではないかということだ。町総務課によると、当初はここまで入院が長引く予定ではなく、9月定例会にも初日から出席する予定だったそうだ。だが、それが徐々に延びて、ついには1カ月以上の不在となり、町議会で報告せざるを得なくなったのである。

取材を受けた岩川副町長は弁明する。

「公務に支障があるような重い病気ではないですから」

それなら、そうと全町に伝えたうえで、町民みんなが知るかたちで入院すればいいだけのことだ。それなのに、何も言わずに黙って長期入院を続ければ、あらぬ不信や疑いを招くだけである。

屋久島町議会の臨時会で議案の提案理由を述べる荒木耕治町長。この2日後に町長は入院した=2026年8月10日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより

旅費着服、補助金不正、町営牧場の過労死……次々と

ここまで書いて感じるのは、屋久島町に深く根付いた「隠蔽体質」だ。

不都合なことは自ら報告しない。

不正が発覚しても嘘でごまかす。

この10年を振り返ると、そんなことばかりが続いている。

町長が公費200万円を着服した出張旅費不正精算事件では、当初の追及に虚偽答弁で疑惑を否定。水道工事をめぐる国庫補助金不正請求事件でも、国に虚偽の工事完成日などを報告していたのに、不正が報道で明らかになるまで放置。町営牧場で過労死した職員の公務災害が認定されても、その事実を町議会や町民に知らせないなど、列挙すれば切りがない。

そして、どれも最後は刑事事件や民事訴訟になり、荒木町長は問題の解決を司法に丸投げしているのである。

出張旅費不正精算事件の取材で報道陣に囲まれる屋久島町の荒木耕治町長(中央)=2019年12月17日、屋久島町役場

正直で誠実な自治体をめざして

来年10月の屋久島町長選まで、あと1年ほどである。それゆえに、入院した事実を町民に知られたくなかったのかもしれないが、こんな隠蔽体質の町政が長く続くはずはない。病気で療養中の荒木町長には恐縮だが、それでも今こそ言わねばならない。

屋久島町が正直で誠実な自治体になるためには、不都合な事実を隠さず、嘘を言わない新たなリーダーが必要である。

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