屋久島町議会、取材しないマスコミだけに取材を許可する議長の自己矛盾

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石田尾議長、議場取材は「鹿児島県庁記者クラブの記者」のみ許可

屋久島ポスト、憲法が保障する「報道の自由」や「法の下の平等」を侵害と主張

屋久島ポストは訴訟の当事者であるため、主観を入れた取材記の体裁にしています。

【左】議員席から取材を拒否する理由を問われた後、手を出して町議の発言を制止する屋久島町議会の石田尾茂樹議長=2021年12月7日、屋久島町役場の議会棟【右上】鹿児島県議会=Wikimedia Commons より【右下】屋久島町議会=屋久島ポスト撮影

屋久島町議会(石田尾茂樹議長)が市民メディア「屋久島ポスト」(共同代表・鹿島幹男、武田剛)の議会取材を拒否したのは、「表現の自由」などを保障した憲法に違反しているとして、屋久島ポストが町を相手取って提起した「1円訴訟」――。

県議会の慣行がそのまま町議会のルールに

この訴訟の弁論準備手続きが9月7日に開かれるのを前に、屋久島ポストは石田尾議長の陳述書に反論する準備をしていますが、そのなかで全く納得できないのは、議長が記した次の一文です。

<議場の撮影行為については、私の前々任、前任の議長さんたちから鹿児島県庁記者クラブに所属している記者については、原則として撮影行為の許可を与える運用が為されており、特別に申請・許可といった手続も省いているというを(※原文ママ)聞きました。>

そして、その慣行にしたがって、町議会は県庁記者クラブの加盟社に議場での取材を許可しているというのです。

ここで理解できないのは、なぜ鹿児島県議会の慣行が、そのまま屋久島町議会のルールになるのかということです。県議会と町議会はそれぞれが独立した立場で、地方議会としては対等な関係です。何かルールをつくる場合には、各議会の個別の事情に応じて決めなくてはなりません。

石田尾茂樹議長が鹿児島地裁に提出した陳述書の1~2ページ

鹿児島県庁記者クラブ、南日本新聞などマスコミ14社が加盟

そこで、記者クラブについて両議会を比べてみます。

まず、鹿児島県庁記者クラブ「青潮会」には南日本新聞やNHKなどマスコミ14社が加盟しており、その大半は県庁3階にある県政記者室に担当記者を常駐させています。そして、県議会が開かれた際には、特別に報道席を与えられた加盟各社が取材をしています。

つまり県議会としては、記者クラブに取材を認めておけば、新聞やテレビ、インターネットなどを通じて、県内および全国に情報を発信できるということになります。

鹿児島県議会の議場=同県議会ウェブサイトより

屋久島町、記者クラブも地元紙支局もなし

それに対し、屋久島町には記者クラブが存在しません。地元紙・南日本新聞は町内に支局を置いておらず、日常的に町役場と町議会を取材するマスコミの記者もいません。それにもかかわらず、石田尾議長は県庁記者クラブの加盟社だけに取材を許可しており、これでは町議会の情報が詳しく報道されることはありません。

これらの状況を踏まえると、石田尾議長の主張には合理的な理由が全くないことがわかります。県議会を日常的に取材するマスコミは最大で14社もある一方、町議会はゼロです。それなのに、なぜ町議会は県庁記者クラブの加盟社だけに取材を許可しているのでしょう?

これでは、そもそも取材に来ないマスコミだけに取材を許可することになり、実質的に町議会はどこからも取材を受けないことになってしまいます。

屋久島町議会=屋久島ポスト撮影

石田尾議長、明確な根拠なく屋久島ポストを議会から排除

おそらく、この自己矛盾に気づいたのでしょう。

石田尾議長は2025年4月、一転して私たちの議会取材を許可するようになりました。ただし、屋久島ポストが県庁記者クラブに加盟したわけではなく、それまでと同じく、どこにも属さない単なる市民メディアのままです。そうなると、創刊から約3年半にわたって取材を禁止した理由がなかったことになります。なぜなら、取材を認める条件はただ一つ、「県庁記者クラブの加盟社」だったからです。

「議場での取材を認めてほしい」「いや、県庁記者クラブに入っていない屋久島ポストには認められない」「そこを議長判断で何とかしてほしい」「それはできない」……。

そんな押し問答を続けていた当時は気づきませんでしたが、いま裁判のなかで振り返ると、石田尾議長には取材禁止の明確な根拠がなかったことがわかります。自分たちとは全く違う県議会の慣行を口実にして、一町民でもある屋久島ポストの記者を議場から排除していたのです。

屋久島ポストの記者に対して、議会取材を禁止する理由を説明する屋久島町議会の石田尾茂樹議長(左)。右は大角利成副議長(当時)=2021年11月26日、屋久島町役場の議長室、屋久島ポスト撮影

議長の言い訳、取材の制約は「かなり限定的」

私たちは法廷で強く主張しています。これは憲法で保障された「表現の自由」や「知る権利」「報道の自由」を侵害する行為であり、誰もが差別を受けない「法の下の平等」にも反すると。

これに反論するため、石田尾議長も必死なのでしょう。屋久島ポストが議場外にある議会中継用のモニター画面を撮影していたことを理由に、こんな言い訳を陳述書でしています。

<そうしますと、国民の知る権利を保障するための取材の自由に対する制約もかなり限定的だったのであり、今回の私の判断で取材の自由が害されて、憲法違反が認められることはなく、その他違法性も認められることはないと考えます。>

それなら、なぜマスコミ各社にも議場外でモニター画面を撮影するように求めなかったのでしょう。基本的に議場での撮影と録音は禁止なのですから、憲法14条が保障する「法の下の平等」を守るためには、すべての取材者を等しく扱う必要があります。

議会取材から締め出され、屋久島町役場に設置された議会中継用のモニター画面を撮影する屋久島ポストのビデオカメラ=2021年12月7日、屋久島ポスト撮影

議長の好き勝手を二度とさせないために

こうみてくると、石田尾議長が町議会トップに与えられた裁量権を濫用して、好き勝手に取材の可否を決めていたことがわかります。そして、自身が支持する荒木耕治町長ら町幹部に対し、厳しい報道を続ける屋久島ポストを議場から排除したかったのでしょう。

そんな石田尾氏が議長を務めて、まもなく5年になります。このような町民不在の議会運営を二度とさせないためにも、9月7日の期日では、議長の陳述書に強く反論したいと考えています。

「屋久島ポスト」は訴訟の当事者であるため、この【議会取材の自由を守る訴訟】については、記事の文体を「です、ます調」にしたうえで、主観を入れた体験取材記の体裁にしています。

■屋久島町政への提言と意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。
https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA

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