屋久島町政

【視点】屋久島町の大失策、物価高支援で交付金411万円を国に返還へ

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屋久島ポイントカードに1人5000円、しかし500万円が使われずに失効

支援不要な町民にも5000ポイント付与の無駄づかい

次回以降は現金給付や地域商品券で平等な支援を

屋久島町の物価高支援策に使われた「屋久島ポイントカード」(※モノクロにして階調反転加工をしています)

物価高支援の「重点支援地方交付金」を受けて屋久島町が実施した事業で、約411万円が町民の支援に使われず、国に返還されることになった。町商工会が発行する「屋久島ポイントカード」に付与された多数のポイントが、利用されずに失効してしまったからだ。付与されたポイントは1人5000円分なので、実に822人を支援できる交付金が無駄になったことになる。

どうして町は、400万円超の大金を町民のために活用できなかったのか?

JAC日本エアーコミューター機から望む屋久島町役場=屋久島ポスト撮影

町内の「キャッシュレス化の促進」めざし予算4000万円

この事業で、町は予算4000万円を計上して、町民7828人に計3914万円分のポイントを付与した。利用者は町内のカード加盟店で1人5000円分の買い物ができ、8月31日までに使い切ることが条件だった。

ところが、屋久島ポストが9月2日に町産業振興課で確認したところ、使用期限の8月31日までに約500万円分のポイントが利用されなかったことが判明。そこから諸経費を差し引いた約411万円は、町の一般財源として残すことができないため、その全額が国に返還されることになった。

町は物価高支援に加えて、町内店舗の「キャッシュレス化の促進」をめざし、町商工会と協力してポイントカードによる支援事業を実施した。だが、結果的に411万円もの交付金が無駄になったことから、この事業は「大失策」だったと言わざるを得ない。

屋久島町商工会の「屋久島町ポイントカード会」が送付した物価高騰支援の案内チラシ

5000ポイント付与を知らないカード利用者も

なぜ、こんな失敗をしてしまったのか?

その最大の理由は、物価高で本当に困っている町民のためを考えずに、この支援事業を進めたことだ。今回の事業で、屋久島ポイントカードを利用する町民は、全人口1万1000人の約7割にあたる8000人近くに増えたが、そのなかには支援を受ける必要または意思がない人もいる。それにもかかわらず、町が全利用者にポイントを一律に付与したため、そもそも自分のカードに5000ポイントが入ったことを知らず、せっかくのポイントを失効させてしまったケースも多かったはずである。

大型店で使えない屋久島ポイントカード

もう一つ大きな理由は、ポイントカードで買い物ができる加盟店が限定されていることだろう。今年4月時点の加盟店は45事業者だが、Aコープやコスモス、ドラッグストアモリなど、多くの町民が利用する大型店が含まれていない。このポイントカードの主な目的が中小規模の店舗を活性化させることなので、それは仕方がないことだ。だが町民としては、大型店で使える方がありがたいのは、言うまでもない。

屋久島ポイントカードが利用できる店舗一覧(2026年4月1日時点)

物価高支援なのにキャッシュレス化めざす本末転倒の支援策

今回の事業によって、ポイントカードの利用者が増えたことで、町が目標とする「キャッシュレス化の促進」はうまく達成できたかもしれない。だが、この事業で最も重要なのは、物価高に苦しむ町民を助けることだ。その意味で、ポイントカードを利用した今回の事業は、本来の目的を見失った本末転倒の支援策だったといえるだろう。

鹿銀「Payどん」支援策も「不平等」で不評

重点支援地方交付金による町の支援策をめぐっては、鹿児島銀行のキャッシュレス決済サービス「Payどん」を利用したプレミアム付き「地域振興ポイント」(1万円につき4000円)も不評だった。スマートフォンを持っていない高齢者や子どもたちが支援を受けられないなど、多くの町民から「極めて不平等な支援策」と批判を浴びた。

鹿児島銀行の「Payどん」アプリを利用した屋久島町プレミアムポイントの案内チラシ

町、批判を受け1人6000円の一律給付を急遽決定

この批判を踏まえ町は急遽、残りの交付金6600万円を予算計上した補正予算案を6月議会に提出し、全町民に現金6000円を一律給付することを決定。近く各世帯主の銀行口座に、家族人数分の支援金が振り込まれることになっている。

物価高騰支援の現金給付に関する渡辺千護町議(手前)の一般質問に答弁する屋久島町の荒木耕治町長(右から2人目)=2026年6月10日、屋久島町議会、屋久島ポスト撮影

最も平等な支援策は現金給付

今回の教訓を踏まえ、町は今後どのような支援策を実施すればいいのか?

まずは、誰もが平等に支援を受けられる方法を考えることが重要だ。なかでも、最も平等なのは、6月に町が遅れて決定したように、全町民に現金を一律給付することである。

地域経済の活性化も考えれば地域商品券

ただし、現金給付だと町内の店舗で消費されない可能性もあり、地域経済の活性化という意味では不十分といえる。

そうなると、かつて町が実施した地域商品券「まちなかチケット」の全世帯への一律配布がベストだろう。この方法であれば、高齢者から子どもまで全町民に支援が届くだけでなく、町内の多くの店舗で利用することができる。さらには、商品券を使わないまま失効させてしまう町民を最小限に抑えることにつながる。

新型コロナウイルス感染症の拡大や物価高騰などを受けて、2022年度に屋久島町が全町民に配布した「まちなかチケット」について紹介する「町報やくしま」(2023年1月号)の記事

国に返還される交付金411万円。こんな無駄なことが二度と起きないよう、屋久島町役場には町民に寄り添った町政運営を望みたい。

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