7月以降も続く訴訟5件、屋久島町は5000~6000万円を公費負担の見込み
町営牧場過労死訴訟、7月7日に元担当課長らの証人尋問
ふるさと納税寄付金による海底清掃 住民訴訟、9月15日に判決
1万1000人の町で同時に訴訟5件の「異常事態」

屋久島町が当事者となった裁判が鹿児島地裁で続いている。
7月上旬には町営牧場過労死訴訟の証人尋問など3件が予定され、6月には海底清掃業をめぐる住民訴訟など2件の裁判があった。そのうち4件は大詰めを迎えており、今年中には判決が出る見込みだ。
一つの地方自治体、それも人口1万1000人の小さな町が同時に5件の訴訟を抱えるのは「異常事態」といえる。
代理人弁護士の着手金だけで、すでに町は610万円を支出。町営牧場の過労死訴訟で町は、解決金4000万円を支払う和解案を蹴って訴訟を続けており、判決が出れば同額かそれ以上の賠償金を支払う可能性が高い。それに加えて、弁護士への成功報酬を各訴訟で支出する必要があり、最終的に町は計5000~6000万円を負担することになるとみられる。

結果次第では町長ら幹部の賠償責任の可能性も
どの裁判も町役場が原因となったものだが、訴訟費用や賠償金を負担するのは屋久島町民である。まずは、各訴訟の結果を見守ることになるが、判決の内容次第では、荒木耕治町長ら町幹部の賠償責任が発生する可能性もある。
これらの訴訟について、屋久島ポストは今度も取材を続け、それぞれの経過と結果を読者に報告していく。各訴訟の概要は次のとおり。
屋久島町営牧場 過重労働死訴訟
2019年8月に町営牧場で公務中に死亡した町職員について、地方公務員災害補償基金は過重労働による公務災害と認定。だが、町が「過重労働はなかった」と主張し、公務災害の認定事実を否定したため、遺族が町に損害賠償を求めて提訴した。
7月7日、当時の担当課長ら関係者の証人尋問が行われる。
提 訴:2023年10月
原 告:元職員遺族
被 告:屋久島町
請求額:約7000万円
着手金:330万円

海底清掃事業 住民訴訟
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、町は2022年度に海底清掃を主体とする環境保全事業を実施した。だが、実際には事業費の大半が海底清掃ではなく、観光ガイドの冊子と動画の制作費に支出されていたことが判明。この問題を追及する町議が事業支出の違法性を訴えて住民訴訟を提起した。
6月23日に結審して、9月15日に判決が言い渡される。
提 訴:2024年6月
原 告:屋久島町議
被 告:屋久島町
請求額:約1700万円
着手金:66万円

「議会取材の自由を守る」国家賠償請求訴訟
屋久島町議会(石田尾茂樹議長)が市民メディア「屋久島ポスト」(共同代表・鹿島幹男、武田剛)の議会取材を拒否したのは、「表現の自由」などを保障した憲法に違反しているとして、屋久島ポストが町を相手取って「1円訴訟」を提起。
7月1日、石田尾議長に対する証人尋問の必要性が検討される。
提 訴:2025年5月
原 告:屋久島ポスト共同代表2人
被 告:屋久島町
請求額:1円
着手金:66万円

国庫補助金弁済請求訴訟
町が水道工事で虚偽の工事完成日を報告して、国から補助金の返還命令を受けた事件をめぐり、町が補助金返還の責任は「工事遅延を招いた業者にある」として、返還額の一部である約1330万円を町内の業者に賠償請求。
7月6日に第2回口頭弁論があるが、これまで被告の業者は答弁書を出しておらず、裁判も欠席。業者とは連絡が取れない状況で、町が勝訴しても、賠償金が得られない可能性がある。
提 訴:2026年2月
原 告:屋久島町
被 告:工事業者
請求額:約1330万円
着手金:82万円

地籍調査違法確認 行政訴訟
屋久島町の口永良部島で実施された地籍調査をめぐり、町民が町を相手に調査の違法性を訴えて行政訴訟を提起。1983~1986年に旧上屋久町が実施した国土調査法に基づく地籍調査で、一度は確定した私有地の境界線に不服があるとして、調査の違法確認を求めている。
6月23日に第2回口頭弁論が開かれ、次回は8月7日の予定。
提 訴:2026年2月
原 告:町民
被 告:屋久島町
請求額:――――
着手金:66万円

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