有馬教育長、屋久島の子どもたちの問題は「学力」と「虫歯」【日高好作町議 一般質問】
生成AIは児童生徒が多様な情報を比較検証して判断する力を育む補助的なツール
熊本地震「交通や余震への懸念から旅行を取りやめたという声がある」
台風24号の被害情報、県や観光協会との連携で山岳部保全利用協議会のウェブサイトに一元化

屋久島町議会の日高好作町議は9月18日の定例会で、「教育の振興」「観光の振興」について一般質問をした。
日高町議の質問に対する有馬博志教育長、岩川茂隆副町長の主な答弁は次のとおり。
1 教育の振興について
日高町議 中教審特別部会が、次期学習指導要領案で授業にAI活用を初めて明記し、2030年から小学校でスタート予定と報道されたが、現時点でスタートまでの対応について考えを伺う。
有馬教育長 まず、事実関係を整理すると、報道された内容、こちらが9月1日付の新聞だ。現時点で正式に決定されたものではない。いずれ、何かしらの通知が来ると思っている。
2030年度からAI活用が始まると受け取られがちだが、今の校長会でも話をしてきたが、生成AIの教育利用そのものはすでに文部科学省のガイドラインのもとで進められている。鹿児島県においても、県域教育用アカウントを活用した生成AIの利活用環境の整備が進められている。
文部科学省および鹿児島県教育委員会は、生成AIを単に利用すること自体を目的とするのではなく、児童生徒の情報活用能力の向上、主体的な学びの充実、探究的な学習の深化などを推し進めて、さらには教職員の公務効率化に資するツールとして、適切かつ効果的に活用することを求めている。
本町教育委員会としては、情報活用能力および情報モラルの育成、1人1台端末を活用した学習の充実、教職員に対する生成AI活用研修の推進、個人情報保護および情報セキュリティ対策の徹底、著作権や肖像権に関する指導の充実、保護者との共通理解の形成に取り組み、国および県の方針に基づいて、生成AIの適切かつ効果的な活用を進めていく。特に生成AIは答えを得るための道具ではなく、児童生徒が自ら考え課題を見い出し、多様な情報を比較検証しながら判断する力を育むための補助的なツールとして、活用することが重要であると考えている。
今後も本町教育委員会は、AI時代に必要となる資質能力の育成に向けて、安全性の確保と教育的効果の両立を図りながら取り組んでいきたい。

日高町議 国によっては、低年齢への使用を禁止する所やまたAI開発企業でも規制の部分もあるが、その辺の指導について考えを伺う。
有馬教育長 際限なく子どもたちが使用すると、非常に心配な部分はあると思う。生成AIについては、国や地域、またサービス提供事業者によって、利用年齢、利用条件が異なっている。一方、我が国においては一律に禁止するという考えではなく、児童生徒の発達段階や利用目的、利用規約等を踏まえながら適切に活用することが基本的な考えとして示されている。
鹿児島県教育委員会においても、生成AIの活用にあたっては、利用目的を明確にすること、児童生徒の主体的な学びを支援すること、それからこちらが大事で、情報モラルやメディアリテラシーと一体的に指導すること、個人情報や機微な情報を入力しないこと、県域教育用アカウントを利用することを基本原則として示している。
本町教育委員会としても、利用規約および年齢制限の遵守、発達段階に応じた活用、保護者への説明および理解促進、個人情報保護の徹底、著作権・肖像権への配慮、情報モラル教育の充実、AIの回答をうのみにしない批判的思考力の育成などを基本として指導していく。特に小学校段階においては、保護者の理解のもと教員が伴走しながら利用し、誤情報、間違った情報について比較検証する機会を設けるなど、発達段階に応じた丁寧な指導を行うことが重要であると考えている。また中学校段階においては、出力された情報の信頼性を自ら判断する力や、生成AIに依存せず自分の考えを形成する力の育成を重視していく。
なお、海外の規制事例についてだが、学校教育において重要なことは、海外の一部事例のみを基準とするのではなく、文部科学省および鹿児島県教育委員会のガイドラインに基づき、安全性と教育的効果、この両立を図りながら活用していくことであると考えている。本町教育委員会としても、生成AIを禁止するか、活用かという二者択一で捉えるのではなく、AI時代を主体的に生きる子どもたちに必要な情報活用能力を育成する観点から、適切かつ効果的な活用を推進していく。
日高町議 教える側の先生方にとって、新たな対応に負担も生じると思うが、どのように考えているか伺う。
有馬教育長 新しい技術を教育現場に導入する際には、教職員がその特性や留意点を理解して適切な指導法を身に着ける必要がある。そのことから、一定の準備や研修が必要となってくる。そのため導入当初においては、教職員の負担が全くないとは考えていない。
しかしながら鹿児島県教育委員会は、生成AIを教育DXの推進に資するツールとして位置づけており、児童生徒の学びの充実だけでなく、教材作成や通知文作成、会議資料作成、議事録整理などをはじめとする公務の効率化にも活用できるとしている。また、県では教職員向けの活用ハンドブックや研修用動画等を整備し、学校現場が安心して活用できる環境づくりを進めている。
本町教育委員会としても、教職員に新たな負担のみを求めるのではなく、生成AIを効果的に活用することによって公務の効率化を図り、児童生徒と向き合う時間や授業準備に充てる時間を確保することが重要であると考えている。
したがって、まずは教職員が生成AIの利便性や注意点を正しく理解できるよう研修の充実を図るとともに、学校現場の実態に応じて無理のないかたちで活用を進めていく。生成AIは教職員の仕事を増やすためのものではなく、教職員の負担軽減と教育活動の充実の両立を図るためのツールであると認識しており、本町教育委員会としても、そのような観点から適切に活用を促進していく。新しい技術である以上、最初は学ぶ必要があるが、最終的には先生方の仕事を増やすのではなく、児童と向き合う時間を増やすための取り組みであると考えている。

日高町議 本町の教育全般について感じる点について伺う。
有馬教育長 これまで学校現場において、生き生きと日々の学習や部活動、それから行事に取り組む児童生徒の姿を見て、本町の子どもたちの持つ無限の可能性と純粋さに日々強い感銘と責任の重さを感じてきた。先日、中学生2人が運動面と文化面で、それぞれ素晴らしい成績を収めて表敬訪問してくれたが、そういった素晴らしい力を持った子どもたちが屋久島にたくさんいるというのは、私自身も誇りに思うところだ。
現在、少子高齢化やAI技術の急速な進展など、社会が激しく変容する予測困難な時代を迎えているのは、ご承知の通りだと思う。このようななか、教育全般において強く感じているのは、これまでの全員に同じ資質能力を求める教育から、子どもたち一人ひとりの個性や可能性を最大限に引き出す教育への転換が、今まさに求められているということだと思います。
本町においても、全国的な傾向と同様に、不登校児童生徒の増加や特別な支援を必要とする子どもたちの多様化は喫緊の課題である。これらの課題に対応するためにも、学校現場の教職員が高い志を持ち続けられるよう、学校における働き方改革の推進やICTを活用した業務効率化も重要な責務であると感じている。
今後とも第4期屋久島町教育振興基本計画に基づき、現場の声に耳を傾けながら、一歩一歩着実に教育行政を進めていきたいと考えているところだ。だが、今ご質問にあったように、本音を言うとやはり学力の問題、それから今一番思っているのが、屋久島の子どもたちの虫歯の罹患率っていうのはもう全国的にも高いものがある。先程の校長会でも投げかけたが、何か手立てを打たないといけないのではないかと、常日頃から思っているところではある。夢と希望に満ちた未来を創造する屋久島の人づくりという基本計画の目標にもあるので、そういったところを、子どもたちの力を伸ばしていくことに尽力していきたいと思っている。

2 観光の振興について
日高町議 7月28日発生した熊本地震では、県内では大きな被害は免れたものの、新幹線、高速道路の通行がストップし、観光客の大きな減少に繋がったが、本町の観光にとってはどうであったか。
岩川副町長 熊本地震の本町観光への影響については、8月の入込客数の把握がまだできていないので、縄文杉への登山者数、レクリエーションの森の利用者については、前年比8.5パーセントほどの減少、屋久杉自然館入館者は前年比20パーセントほどの減少がそれぞれ見られた。関係者に聴き取りを行ったところ、熊本地震の報道を見て、交通や余震への懸念から旅行を取りやめたという声はあるとのことだった。
本町へ九州・沖縄方面から訪れる方は入込客総数の約17パーセントであり、その多くは新幹線や高速道路などを利用することが予想され、陸路が途絶えたことで来島できなくなってしまったと考えられる。その一方、本町へ関東・関西方面から訪れる方々は入込客総数の約57パーセントに及び、そのほとんどは航空機を利用し、地震の影響を受けることなく来島していると予想され、地震の影響は抑えられていると考えている。
九州自動車道はすでに開通し、九州新幹線も9月18日には開通するとのことである。これに合わせ県は9月14日から、国は10月1日から観光を復興する取り組みとして、旅行・宿泊料金の割引支援の取り組み「九州ふっこう応援割」を始めることにしている。本町においては、ふっこう応援割と特定有人国境離島交付金を活用した滞在型観光促進事業費補助金との併用が可能とのことなので、積極的に周知を図り、本町観光の復興に活用していきたいと考えている。

日高町議 今回の教訓をどの様に受け止め、今後にどのように反映させる考えか伺う。
岩川副町長 熊本地震等の教訓から、本町では発災直後の正確な情報伝達、風評被害の防止、関係機関との情報一元化を最重要課題として捉えている。町としては、これらの教訓を次の2点の方針として反映させている。
第1に、フェーズに応じた広報だ。発災直後は混乱回避のため客観的な事実発信に徹し、事態の鎮静化や安全確認に合わせ段階的な情報周知へ移行すること。第2に、公式情報の一元化と旅行者等への配慮です。情報提供窓口を統一し、屋久島への旅行を予定されている皆様やツアーを企画催行する旅行会社の皆様が現地状況を的確に把握し、迅速適切な判断を行えるよう配慮することだ。
今回の台風24号被害においても、まさにこの方針に基づき対応し、県道を管理する鹿児島県屋久島事務所や観光協会と連携し、ヤクスギランド線等の通行止め情報を屋久島山岳部保全利用協議会のウェブサイトへ集約するとともに、町公式ホームページからもリンクを貼り、同サイトへ誘導して情報を一元化した。初動として、事実関係を迅速かつ正確に届けることで、旅行者の皆様や旅行会社が適切な対応をとれるよう配慮しつつ、里地観光や交通機関の通常営業状況を冷静に周知し、島全体への風評被害防止に努めたところだ。今後も安全確保を最優先としつつ、観光被害を最小限に抑えていく。

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