屋久島町政

屋久島町、人口減少対策として「保育園留学」を実施へ

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荒木町長、保育園留学は「ノウハウをもっている民間事業者へ委託する」

「空き家バンク」制度、過去5年で賃貸51件 売買16件の実績

天辰絵美子町議/町議会定例会 一般質問

【右】屋久島町議会12月定例会で一般質問をする天辰絵美子町議【左】答弁する荒木耕治町長=いずれも2025年12月10日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより

屋久島町議会の天辰絵美子町議は12月10日の定例会で、「保育園留学」「空き家対策」「人口減少」「10~15年先を見据えて安心した医療・介護・福祉の提供」について一般質問をした。

天辰町議の質問に対する荒木耕治町長の答弁は次のとおり。

1 保育園留学について

天辰町議:保育園留学の施行開始状況について、時期・対象保育園(選定方法)、宿泊施設、保育園留学家族の募集方法はどのように行う予定か。

荒木町長:初当選おめでとうございます。唯一の女性議員として、そういう視点から屋久島町の発展をともに頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

天辰絵美子議員の質問にお答えをします。

保育園留学については、近年、全国の自治体で導入が進んできていると聞いています。そのほとんどが人口減少で過疎化が進んでいるところであり、自治体としてこの短期の保育園留学制度を活用して、将来的な移住定住につなげていきたいと考えているものと思っています。

少子高齢化により人口減少が進む我が町でも事業実施を検討しており、各保育園の意向を聴取したところ、複数の希望があったことから、まず実施する園を選定後、短期留学の住居の調整を行いたいと思います。

なお、事業を実施する場合は、この事業のノウハウをもっている民間事業者へ委託を行うことを考えていますので、募集についても様々な媒体を利用して全国に広く行われるものと思います。いずれにせよ、町としては実施の決定や住居の選定等の態勢が整い次第、実施をしてまいりたいと考えております。

2 空き家対策について

天辰町議:町内の空き家の状況はどの程度把握しているのか?(個数、空き家の期間、管理者は誰か、意向調査など)

荒木町長:本町の空き家につきましては、町内の空き家の情報を募集や提供を行う「空き家バンク」制度を実施し、空き家の有効活用の推進と状況把握に取り組んでいます。

令和2年11月からこれまでに町内の空き家所有者から空き家バンクに登録された物件総数は、賃貸51件、売買16件の67件。本町への移住を検討し、空き家を利用したいと登録された方は107件となっています。そのうち、賃貸または売買の契約が成立したものは63件です。

この取り組みをさらに推進するため、今年4月より空き家の利用促進および移住推進をミッションとした地域おこし協力隊を任用し、活動をしています。隊員は着任以降、屋久島の全集落を訪問し、区長と面談を行い、各集落の空き家や移住についての状況や意向の把握を行ってまいりました。

高齢化に伴う人口減少が進む集落においては、空き家を活用した移住促進に意欲的な話を聞くことができましたが、移住をいかに集落振興につなげていくか、住宅改修にかかる経費や登記の煩雑さなどの課題や問題を認識することができたと報告を受けています。

今後も継続して区長との面談や集落説明会を行い、空き家の状況把握に努めるとともに、空き家の利活用を推進するために空き家バンクなどの空き家を活用する施策の周知に取り組んでまいりたいと思っております。

3 人口減少について

天辰町議:第3期まち・ひと・しごと創生総合戦略において合計特殊出生数1.445までの回復や2030年から若い世代毎年30人、子どもを持つ若い世代毎年10組の目標を遂行するにあたり具体的な施策内容を伺いたい。

荒木町長:合計特殊出生率の回復につきましては、日本では結婚した夫婦が最終的にもつ子どもの平均数である完結出生率が2.0に近い数字を維持していることから、結婚支援が効果的であると捉えており、出会いの場の創出など、婚活支援事業を継続して実施していく必要があると考えております。また戦略で掲げております、独身の若い世代の移住を促進することは、町内での結婚数の増加にもつながるものと考えており、移住施策と結婚支援を連動させて取り組んでまいります。

なお、来年度は特に移住定住の基盤となる住宅確保対策と雇用対策で新たな事業を検討しております。

まず、住宅確保対策については、移住を希望される方がいても住める家がないことが大きな障壁となっております。これに対し、第3期総合戦略に基づき、これまで実施している取り組みに加え、不足している住居の供給を増やすため、民間賃貸住宅の新築支援制度の新設について検討してまいります。これにより、移住者や若者が住まいを確保しやすい環境を整備してまいります。

次に雇用対策については、あらゆる産業で人手不足が深刻化しているなか、デジタル技術を活用した、働きたい人と雇用したい人をつなぐ仕組みを検討しております。これにより、これまで働く機会の少なかった町内の隠れた労働力の掘り起こしや、仕事がないことを理由とした人口流出の防止と合わせて町外からも求人情報を発信することで、単なる観光客から地域と関わる関係人口や将来的な移住定住につなげる呼び水として推進をしてまいります。また、議員よりご質問のありました保育園留学につきましても、将来的な移住定住へとつながる可能性がある取り組みと考えております。

本町の人口減少問題に特効薬はなく、何か一つの事業で劇的に状況が改善するものではないと認識をしております。住まい、仕事、子育て、環境、そして出会いの場の創出など、様々な事業が複雑に絡み合い、それらが相乗効果を生むことで初めて成果が表れるものと考えております。そのためPDCAサイクル(Plan・計画、Do・実行、Check・評価、Action・改善)で効果を検証し、柔軟に見直しを図りながら進めてまいります。

なお、これらの具体的な事業の実施にあたりましては、財政的な支出を伴うものもございます。詳細につきましては、来年度の投資予算案に計上をし、提案させていただきたいと考えておりますので、議員各位のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

4 10~15年先を見据えて安心した医療・介護・福祉の提供について

天辰町議:現在の島内の医療・介護・福祉の施設のキャパシティについて(現在と10~15年先)町の見解はどのようか。

荒木町長:屋久島町の人口は11月末現在約1万1100人で、高齢化率は約38%です。統計によりますと、2040年の人口は約9100人まで減少しますが、高齢化率は今以上に上昇することが見込まれています。島内唯一の総合病院であります屋久島徳洲会病院の病床数には限りがあり、受け入れはさらに厳しさを増していくことが予想されます。

また、介護福祉施設につきましては、数としては全国各地域の平均と比べて整備されている面もあると思いますが、供給力でみると、将来の需要増に対して現状の入所型介護、通所サービス等の供給量を保ったままだと、特別養護老人ホーム等の入所系、通所および訪問介護の需要は2040年頃まで確実に増加をし、特に在宅向けの訪問サービスと短期入所、小規模多機能の不足が深刻になる可能性が高いと思われます。

町が考えている10年から15年後の医療介護福祉としましては、現有資源、離島特有の制約を踏まえ、在宅重視、地域分散型サービスの強化、人材の確保、ICTの活用を軸として、「在宅ケアと訪問サービスの大幅な強化」「遠隔治療・地域連携の整備」「小規模多機能のグループホームのユニットの段階的な増設」「医療介護人材の確保」の四つの方策を優先課題とし、財政支援や人材育成の支援等を行っていく必要があるのではと考えているところであります。ただ、現段階で具体的な方針は示せていないところであります。

天辰町議:予防医療・認知症予防に重点を置く必要性はないか。必要ならば、どういう施策を計画しているか伺いたい。

荒木町長:本町が取り組んでいる予防医療、認知症予防といたしまして、高齢者福祉計画・介護保険事業計画・認知症ガイドブック等の作成、介護保険制度による多様なサービスの提供、高齢者福祉の経済的医療支援制度などがあります。生活習慣の改善・予防を促す取り組みとしては、検診による生活リスクの判定、ハイリスク者抽出による食事アドバイスや生活習慣の改善の個別指導等を実践しています。

また、専門職による介護予防教室・口腔教室の開催、各集落のボランティアさんが自主的に行うサロン開催における交流の場・運動の場の推進、認知症サポーターの育成、徘徊などによる地域見守り体制の充実など、積極的に取り組んでいるところであります。

今後の施策としましては、最優先で行う施策、1から3年の短期間で整備すべき施策、中長期で整備していく予定の施策と、三つの段階に分けて予防施策を講じていく計画としております。

最優先で行う施策としましては、軽度認知障がい者の早期発見・早期介入するため、健康(診断)の受診促進、現在行っているフレイル予防や介護予防教室の開催、保健指導の促進など、その時々のニーズを反映しながら現在の取り組みを継続強化してまいります。また近年、難聴は認知症リスクの最大の修正可能な要因とも言われておりますので、補聴器購入の支援を検討したいと思っております。

次に、1から3年で整備すべき施策としまして、高血圧や糖尿病の管理の強化、高齢者のさらなる社会参加の促進、歯周病の管理の促進等を強化していく計画です。

中長期で整備していく施策としましては、医療・介護・福祉のデータ連携の構築を目指します。人材不足のなかでも効率的な支援体制を作り、電子記録・検診・介護サービス情報の共有による早期発見・早期介入、重度化予防の実現を目指します。ただ、財政面、個人情報保護の観点から、容易には行かない状況であります。

なお、町では医療介護に関する様々な地域の課題を抽出し、その対応策を検討するため、医療介護の現場で活躍する従事者の皆様が一堂に集う会議を立ち上げ、意見交換を行いながら、屋久島の現状と今後の展望について協議を重ねているところであります。

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