屋久島町政

【視点】迫る人口1万人の大台割れ、移住ブームにあぐらをかいた屋久島町長

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荒木町長、初当選から4期目までに町民約3000人の激減

1~2期目は無策、移住対策は3期目の2020年から

国勢調査、2010年1万3589人→2025年1万693人

屋久島(右)と口永良部島からなる屋久島町の衛星写真=Google Earth より

このまま有効な対策を打てなければ、屋久島町の人口は2030年に1万人の大台を割ってしまう――。

今年9月、2025年の国勢調査の確定値が発表され、そんな現実が見えてきた。

屋久島町の人口が1万693人となり、この15年で町民が3000人近くも減ったことがわかったのだ。前回2020年からは1165人減って減少率は9.8%。これは鹿児島県43市町村の平均4.8%を大幅に上回り、お隣り種子島の1市2町を含めた熊毛地区のなかで、最も高い減少率である。

1993年の世界遺産登録から約20年、1万3000人台半ばで安定

1993年に屋久島が世界自然遺産になって以降は移住者が増え、約20年にわたり町の人口は1万3000人台半ばで安定していた。だが、2015年に1万2913人になってからは、雪崩を打つように人口が減り続けた。2020年は1055人減、2025年は1165人減と、5年ごとに1000人規模で町から人が消えていったのである。

上空から望む屋久島=屋久島ポスト撮影

荒木町長の2期目から始まった人口の急減

屋久島町の人口減少の推移と辿ると、ある傾向が見えてくる。現職の荒木耕治町長が初当選した2011年以降の数年は1万3500人ほどだったが、2期目に入った2015年ごろから急速に人口が減り始めているのだ。

以下に示す経緯を見れば、それは明らかである。

1990年:人口1万3860人
1995年:人口1万3593人(前回比267人減)
2000年:人口1万3875人(前回比282人増)
2005年:人口1万3761人(前回比114人減)

2010年:人口1万3589人(前回比172人減)
2011年:荒木町長が初当選

2015年:人口1万2913人(前回比676人減)
2015年:荒木町長が無投票で2選

2019年:荒木町長が3選
2020年:人口1万1858人(前回比1055人減)

2023年:荒木町長が4選
2025年:1万693人(前回比1165人減)

※2010年~2025年で計2896人減

無投票で2選を果たし、支持者と握手をする屋久島町の荒木耕治町長(右)=2015年10月20日、屋久島町宮之浦

2000~15年、鹿児島県13万8000人減でも町は1万3000人半ばで安定

全国的に少子高齢化が進むなかで、「それは仕方がない」とする声もあるだろう。

だが、2000年から2015年にかけて、鹿児島県の人口が約178万6200人から約164万8200人と約13万8000人も減っている状況下でも、屋久島町は1万3000人台半ばで安定を保っていた。それを考えると、荒木町長が2期目を迎えた2015年以降も、かつて盛況だった移住ブームにあぐらをかき、人口減に何ら対策を打たなかったことがうかがえる。

初当選から2期8年、施政方針で「移住」を語らず

荒木町長の無策ぶりは、毎年3月に開かれる町議会3月定例会の施政方針説明を精読するとよくわかる。施政方針とは、町長が新年度にどのような考えで町政運営に臨むのかを表明するものだが、そこで「移住」というキーワードが初めて出てくるのは、3期目に入った2020年になってからなのだ。

つまり、それまでの2期8年間、荒木町長は移住政策に全く力を入れていなかったということである。

2020年度の施政方針説明で、移住対策などについて話す屋久島町の荒木耕治町長=2020年3月6日、屋久島町議会

遅すぎた「家賃補助」「移住支援金」「婚活イベント」……

それでは、荒木町長は2020年以降、どんな移住政策を施政方針で語っているのか?

やや長い引用になるが、主な内容は次のとおりである。

2020年:「移住希望者のサポートや移住に関するホームページの更新」などに取り組み、「暮らし体験住宅の建設」や「移住者促進家賃等補助金の創設」で、移住者の増加をめざす。

2021年:「リモートワーカーの誘致に向けた条件整備」と「移住PRの強化、補助制度の新設」を表明。補助制度としては、「暮らし体験住宅による月額1万円で3カ月から1年間のお試し期間」を設ける。

2022年:「移住イベントへの出展」を積極的に実施。移住者が民間の賃貸住宅を借りた場合の「初期費用及び家賃」「住宅取得や空き家の改修」「移住費用」などに対する補助。出会いの場を提供する「婚活イベント」を開催。

2023年:移住・定住の「初期費用及び家賃」「住宅取得や移住費用」などへの補助。「婚活イベント」を開催するほか、「婚姻に伴う住宅取得費用や引っ越し費用」にも補助。

2024年:「移住支援金」や「結婚新生活支援事業」に加え、「暮らし体験住宅事業」の周知に取り組む。

2025年:「働く場の確保」「住宅資源の整備」「子育て環境の充実」などの取り組みを進める。「空き家活用支援を行う地域おこし協力隊」を1名採用」して、Uターンを含めた移住者の受け入れ態勢を整える。

2026年:屋久島町には「挑戦者を引きつける潜在力」があるとして、「この魅力を積極的に発信し、移住定住の促進」につなげる。移住希望には「住宅取得や空き家改修支援」「家賃支援」を継続。

どれも移住者には助かる支援だが、どうして、これらの施策を1期目(2011~2015年)にできなかったのかと悔やまれる。せめて2期目(2015~2019年)であれば、まだ間に合ったかもしれない。だが、すでに人口の急減が進む3期目(2019~2023年)に慌てて始めても、「時すでに遅し」ということである。

屋久島町議会で2026年度の施政方針説明をする荒木耕治町長=2026年3月10日、同町議会YouTubeチャンネルより

新庁舎建設の反対運動で混乱する間に人口急減

その一方、荒木町長が1期目から力を注いでいたのは、新しい町役場の庁舎建設事業だ。総事業費24億円が高額だとして、建設に反対する住民たちが町長の解職を求めるリコール運動を展開し、2016年から1年にわたり町政が混乱。なんとか2019年に完成にこぎつけたが、その間に新たな移住者は少なくなり、町を支える人口が急減したのである。

総事業費24億円をかけて完成させた屋久島町役場=屋久島ポスト撮影

そして、いま迎えている4期目は残すところ1年となり、来年10月には町長選となる。荒木町長が5期目をめざすかどうかわからないが、次の任期中には2030年が訪れる。

そのとき、屋久島町の人口が1万人の大台を割らないように、荒木町長は残りの1年で成果を出さなくてはならない。

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