【取材後記】本当は1人「1万5000円」のはずだった現金給付6000円の物価高支援
鹿児島銀行の要望で「Payどん」利用の不平等な支援に
住民不在の町政を変える町民の声

子どもからお年寄りまで一人ずつ、屋久島町で暮らす全町民に一律1万5000円が給付されるはずだったのに……。
物価高騰支援で1人6000円を給付する予算案が審議された町議会6月定例会を取材しながら、議場の傍聴席でため息が出た。国と県から交付された約1億7100万円で全町民を支援できるのに、町はそのうちの1億500万円を一部の町民しか利用できない支援策に使っていたのだ。
Payどん支援で8000人超が「蚊帳の外」
その一つは、鹿児島銀行のキャッシュレス決済サービス「Payどん」を利用した支援策である。1万円のデジタル地域振興券を購入すると、4000円のプレミアムポイントが付いてくるのだが、支援を受けるためには数々の「ハードル」がある。
必ず1人1台ずつスマートフォンが必要。必ず鹿児島銀行などの指定銀行に個人口座が必要。必ずPayどんアプリを入れる「煩雑な作業」が必要……。
このため、全町民1万1000人の7割以上となる8000人超が、そもそも恩恵を受けられない「蚊帳の外」に置かれた。

もう一つは、町商工会が発行する「屋久島ポイントカード」へのポイント給付。1人5000円分のポイントをもらえるのだが、支援を決めた段階で、このカードを持っていたのは全町民の半分強にあたる約6000人だった。

町民の不満が続出「一律平等な支援を」
その結果、多くの町民から「極めて不平等な支援策」「全町民に一律平等に支援してほしい」などと不満の声が続出。町議会で渡辺千護町議が「すべての町民に現金を給付するべき」と訴えたことで、町は全町民への現金給付を決めた。
だが、すでに1億500万円は「不平等な支援策」に支出してしまい、残りの6600万円を使っても、支援金は1人6000円に留まることになった。
最初から全予算を現金給付に使っておけば、すべての町民に1万5000円を届けられたのに、なぜ町はこんな不平等な支援策を考えたのか?

町民の声に耳を傾けない町幹部
最大の理由は、鹿児島銀行や町商工会といった経済団体の要望だけを、町役場が聞き入れたからだ。物価高騰で苦しむ町民に対する支援なのに、荒木耕治町長ら町幹部は町民の声に耳を傾けることなく、銀行や商工会の方だけを向いていたということである。
だが、それでも今回、そんな住民不在の屋久島町政から6000円の現金給付を引き出せたのは、多くの町民が声を上げたからだ。6月19日に配信した記事「【読者の声】屋久島町を動かし現金給付6000円を実現させた町民の投稿」にもあるとおり、一人ひとりが諦めずに意見を言い続ければ、町民が主体となった町づくりができるのである。
少しずつではあるが、町民に寄り添う屋久島町役場になることを期待したい。
■物価高騰の支援策に対するご意見
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