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市民の小さな声を伝え 社会を大きく変える報道の力

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読者の声を支えに取材を続ける屋久島ポスト

町が放置する炭化物1000トン、民家に隣接する町役場の喫煙所、町長の旅費着服200万円……

「絶対に守り抜く」取材源の秘匿

【上】読者からの情報を受け付ける「みんなのポスト取材班」のロゴ【下】屋久島町役場

マスコミや市民メディアなどにとって、読者や視聴者からの声は日々の報道を支える大切な情報源だ。

「こんな無駄な税金の使い方は許されない」「仕事中に大けがをしても会社は何も補償してくれない」……。

どんなに小さな声でも、一人ひとりから寄せられた情報を広く社会に届け、それを行政機関や企業などにぶつける。その積み重ねを地道に続けていくことで、市民が主体となった、より良い社会がつくられていくのである。

それは1万1000人が暮らす小さな屋久島町でも、全く同じことだ。

屋久島ポストが4月に報じた2本の記事、①<屋久島町、世界自然遺産の森を望む廃墟などに大量の炭化物を長年放置>(4月17日付)と②<屋久島町に読者から疑問「町役場の敷地ってタバコが吸えるの? すぐ隣に民家があるのに……」>(4月30日付)は、いずれも読者の声に支えられた報道である。

読者情報で取材、町が炭化物1000トンの島外搬出を決定

まず①の炭化物の記事は、読者からのメールが取材のきっかけだった。

<ごみ処理場から排出された炭化物が大量に、放置同然で保管されています。放置しているのは屋久島町です。だれでも出入りできる建物で、公衆衛生・防災上とても危険な状況です。ぜひ、屋久島町の生活環境課廃棄物担当係に取材して、早急に適正に処分するように正してください>

病院跡にある廃墟のフロワーに山積みされた炭化物。劣化で破れた袋からは、真っ黒な炭が床にこぼれ落ちていた=2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

この情報提供を受けて町役場を取材すると、ごみを熱して処理する炭化炉から出た計1000トンもの炭が、病院や旧ごみ処理場の跡地に放置されていることがわかった。当初、町は炭化物を燃料として町外に売る予定だったが、悪臭がするなどの品質不良で販売を断念。その結果、行先を失った大量の炭が「在庫」となり、20年間にわたって放置されていたのだ。

ところが、屋久島ポストの取材をきっかけに、町はすべての炭化物を処分する方針を決定。2026年度に約3300万円の予算を計上したうえで、早急に島外へ搬出する準備を進めており、読者の声が町を動かす結果となった。

【左】山積みになった袋から炭化物がこぼれ落ち、コンクリートの床を黒く染めていた【右】劣化して破れた袋から顔を覗かせる炭化物=いずれも2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

読者が指摘「町役場の喫煙所は民家のすぐ隣にある」

続く②で報じた町役場の屋外喫煙所についても、読者の投稿フォームに届いた声が取材の始まりだった。それに先立って、屋久島空港の屋外喫煙所が人通りの多いタクシー乗り場の近くに設置されている問題を報じたところ、こんな投稿があった。

<屋久島空港の喫煙所もですが、屋久島町役場でもすぐ隣に民家があるのに喫煙所がある。町役場の敷地ってタバコが吸えるの?>

屋久島町役場周辺の衛星写真。写真中央の本庁舎から十数メートル離れた機械室棟と擁壁の狭間に屋外喫煙所(赤丸で囲んだ部分)が設置され、すぐ近くには民家と集合住宅が隣接している=グーグルマップより

すぐに屋久島ポストが取材をすると、確かに読者が指摘したとおり、役場敷地内の屋外喫煙所は民家や集合住宅に隣接し、タバコの煙や臭いが伝わる近い場所に置かれていた。さらに、公共施設での喫煙などを規制する健康増進法に照らしてみると、防煙壁などの仕切りや喫煙所を明示する掲示もなく、違法が疑われる状態だった。

その後、屋久島ポストは町に取材結果を伝えたうえで、「読者から町役場に疑問の声が出ているので、町としての見解を示しいほしい」と依頼。5月連休明けにも届くとみられる町からの回答を踏まえ、続報記事を配信する予定にしている。

屋久島町役場の屋外喫煙所には、7人分のベンチと二つの灰皿が置かれていた=2026年4月28日午前10時30分すぎ、屋久島町小瀬田、屋久島ポスト撮影

読者の声なければ 不正や不祥事は「何もなかった」ことに

これら2本の記事は最近の事例だが、これまでも読者の声をきっかけにした報道が、町や国などを動かしてきた。

2019年末に発覚した荒木耕治町長による出張旅費200万円の着服は、その最たる事件だ。荒木町長が町から受け取った普通運賃の航空券を屋久島空港で払い戻し、高齢者割引で買い直して差額を着服していると証言したのは、その様子を空港で目撃した複数の町民だった。

出張旅費の着服問題が明らかになったのち、抗議する住民らに取り囲まれる荒木耕治町長(中央)=2020年1月10日、屋久島町役場

また、町が水道工事の完成日を偽って報告し、2022年に国から補助金1668万円の返還命令を受けた国庫補助金不正請求事件は、町内の工事関係者から寄せられた情報が取材の端緒となった。さらに廃棄物の不法焼却で、現職町議が2023年に罰金50万円で有罪となった事件では、町民が撮った現場写真を屋久島ポストが報じたことで、刑事事件として捜査が始まるきっかけをつくった。

壁板や窓枠、ドアなどが無造作に捨てられた廃棄物の投棄現場=2020年9月14日、屋久島町安房、住民撮影

こうして振り返ると、屋久島ポストや地元紙「南日本新聞」などによる過去の報道は、多くの読者の声によって支えられてきたことがわかる。それは言い換えれば、もし読者が声を上げなければ、これらすべての不正や不祥事は「何もなかった」ことになり、その後も脈々と続いていたということである。

警察に迫られても絶対に守る取材源

うは言っても、大きな権力をもつ町役場などに異論を唱えるのは勇気がいることだ。「もし、自分が情報提供したことがわかったら、何をされるかわからない」と心配して、黙って見て見ぬふりをせざるを得ない読者も多いと思う。

だが、そんなとき、もし読者が報道機関に公益通報をしても、そのメディアは情報提供者の個人情報を明かすことはしない。

そして、屋久島ポストについては「絶対に言わない」と約束する。かつて、屋久島町幹部の出張旅費不正精算事件に巻き込まれた屋久島ポストの共同代表は、警察の事情聴取で何度も取材源を明かすように迫られたが、最後の最後まで拒否し続けた。

つまり私たち取材者は、自分自身が法的に不利になる恐れがあっても、絶対に取材源の秘匿は守り抜くということである。

市民の小さな声が社会を大きく変える――。

私たち屋久島ポストは、そう信じて読者からの情報提供を受け付けている。そして、公益性と公共性があると判断した場合は必ず取材をするので、どうか一人ひとりの声を届けてほしいと願っている。

情報提供は以下のメールアドレスまたは投稿フォームでお待ちしています。

■「みんなのポスト取材班」メール
[email protected]

■「みんなのポスト取材班」情報提供フォーム
https://forms.gle/MRMK4PPfnEH61Ltf7

■「JOURNALISM ON DEMAND(JOD)」ネットワークhttps://www.nishinippon.co.jp/item/1064388

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