「観光トロッコ 屋久島の星に」森林鉄道の1.5キロに有志計画【朝日新聞2015年報道】
安房森林鉄道の観光利用をめざすNPO「屋久島森林トロッコ」
新たな観光資源としての活用を屋久島町議会に陳情
屋久島ポスト共同代表の過去記事を紹介

100年以上の歴史を誇る「安房森林鉄道」を屋久島観光に活かすことを求める陳情書が屋久島町議会に提出された。6月8日に開会する6月定例会で採択の可否が審議される。
日本で唯一現役の森林鉄道
1923(大正12)年に開通した同鉄道は、山中から屋久杉の巨木を運ぶなどして、長年にわたって屋久島の林業を支えてきた。日本国内では唯一現役で稼働している森林鉄道として知られ、経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されている。
NPO「観光客の多大な増加につながることは必定」
陳情したのは、同鉄道の観光利用計画を進めるNPO「屋久島森林トロッコ」(小脇清治理事長)で、陳情書では次のように訴えている。
<「観光立島」を掲げる本町観光の推進・発展において、経済産業省の「近代化遺産」に指定されている森林鉄道を復活させ、観光客を乗せた運行を行い、渓谷や照葉樹林帯といった自然を満喫させることにより、観光客の多大な増加につながることは必定と考えます>

この計画をめぐっては、屋久島ポスト共同代表の武田剛が2015年9月29日付の朝日新聞鹿児島版で「観光トロッコ 屋久島の星に」「森林鉄道の1.5キロに有志計画」と報道。今回の陳情に合わせて、当時の記事を以下に紹介する。
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観光トロッコ 屋久島の星に
森林鉄道の1.5キロに有志計画
2015年9月29日掲載
朝日新聞鹿児島版
かつて屋久島の林業を支えた「安房森林鉄道」に観光用のトロッコ列車を走らせようと、地元有志でつくるNPO「屋久島森林トロッコ」が今月、事業計画をまとめた。現在、鉄道は屋久島電工が水力発電所の保守整備に使っており、実現には同社の協力取り付けが不可欠。NPO側は観光利用を一部の区間に限ることで理解を得たい考えだ。

屋久杉を搬出 90年前に開通
安房森林鉄道は、屋久島町安房地区から安房川に沿い、縄文杉への玄関口となる荒川登山口を経て、森林伐採の拠点だった小杉谷集落跡などへ延びる。約90年前に開通し、屋久杉の搬出に使われた。伐採が禁じられた後は、発電所への資材や人員、山中に放置された屋久杉の「土埋木」を運んできた。
現在、安房の起点から荒川登山口までの約11キロは、屋久島電工が林野庁から敷地を借り、軌道を買い上げて利用している。
NPOが観光トロッコ列車の運行を構想しているのは、起点から1.5キロの区間。6両編成のトロッコ列車を1日に5往復させて、最大で1000人を運ぶ、というものだ。
国立公園外で遊具施設として運行
屋久島電工は人身事故などの安全面も含め、発電所の保守管理に支障が出ることを懸念し、これまで「観光との併用はできない」との立場をとってきた。
そこでNPO側は、現在の起点から1・5キロ地点に屋久島電工のための新たな起点を設け、併用を避けることを考えた。新起点には取り付け道路を作り、荷物の積み下ろしができるようにする、というものだ。
起点から1.5キロの範囲であれば国立公園から外れる。時速10キロ程度で走行すれば、遊園地などの「遊具施設」と同じ扱いになり、鉄道事業の許可も必要はないという。

屋久島電工の協力がカギ
NPOは町の元職員や町議、山岳ガイドなど20人で昨年夏に結成。合併前の旧屋久町が温めていた構想を引き継ぐ形で、3年ほど前にNPOの前身となる「屋久島森林鉄道夢プロジェクト」を立ち上げ、事業計画の検討を続けてきた。
今月2日には現地調査をして新たな起点の取り付け道路のルート案をまとめ、これらを含む詳細な事業計画を作成した。屋久島電工に近く協力を求める。
駅舎には屋久島の林業史を学ぶ展示
同社の協力を得られたとしても、軌道を買い上げ、機関車や客車を購入し、駅舎などを整備するのに約1 億円の事業費が必要となる見込みだ。東京や地元で協力に名乗りを上げている企業はあるが、十分ではない。全国の鉄道ファンらに募金を呼び掛け、協力者の名前を枕木に刻む企画なども考えている。
駅舎には昔の写真などを展示し、屋久島の林業の歴史も学んでもらう考えだ。NPOの小脇清治理事長は「専門家を招いた会社を立ち上げ、安全面には万全を期して運営する。将来の屋久島の発展のためにも、ぜひ協力を得たい」と話している。

手本は復活した長野の森林鉄道
運営の手本に、とNPOが考えているのは、長野県上松町の赤沢森林鉄道だ。
戦前から約60年間にわたって木曽の木材を運んだ鉄道で、1975年に廃線となった。復活を望む地元住民や鉄道ファンの声に押され、林野庁が軌道を復元。1987年に町が機関車や軌道などを借り受けてトロッコ列車の運行を始め、現在は年間に約7万人が乗車する。
一昨年にはNPOのメンバーが上松町で軌道を視察し、トロッコにも乗った。整備方法や保安マニュアルなどの資料も入手した。
林業の歴史に光を当て「観光の目玉に」
安房森林鉄道は、経済産業省の「近代化産業遺産」に登録されており、新たな観光資源として期待する声もある。屋久島観光協会の松本毅会長は「自然ばかりが注目される中で、トロッコを活用し林業の歴史に光を当てれば、観光の一つの目玉になる」と話す。
(屋久島通信員・武田剛)
※上記の記事については、二次利用が自由にできる契約を朝日新聞社と結んでいます。
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