屋久島町長、将来の屋久島観光のビジョンを語る【町長記者会見】
縄文杉が倒れたら「二代目、三代目の縄文杉が出てくる」
「川や海のアクティビティを広げたい」
屋久島観光を支えるための「移住促進」

屋久島町の荒木耕治町長は3月10日、屋久島ポストや南日本新聞などが要請した記者会見に応じ、町政を取り巻く諸問題について各記者の質問に答えた。
まず初めの質問となった屋久島観光の将来的なビジョンについて、荒木町長が語った主な内容な次のとおり。
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記者:新たな観光基本計画案が示されたことを踏まえ、これからの屋久島観光を活性化させていくための具体的なビジョンについて、町長の見解は?
心豊かで一味違うような観光地づくり
町長:これから個人旅行客の消費額の単価の増額、町外からの入込客数の増加をめざす。そのための施策としてリピーターを増やす、関係人口の創出努力。それと有人国境離島でやっている、もう1泊したいと感じる旅の創出ということ。それからデジタル技術を活用した情報提供の確立や、キャッシュレス化の推進ということになる。
屋久島は元々山岳信仰の島なので、屋久島憲章やエコツーリズムの理念を大切にして、町民一人ひとりが自然や文化、暮らしに誇りを持ち、心豊かで一味違うような観光地づくりをやってみたい。
記者:10年前に策定された観光基本計画では、縄文杉だけに頼る屋久島観光のあり方を見直し、新たな観光資源をつくる必要性が指摘されたが、この10年で実現できたことはあるか?
移住者が島を支える沖縄・座間味村
町長:令和5(2023)年に屋久島町のエコツーリズムの全体構想が承認された。それまで屋久島が培ってきた自然環境を保全しながら利活用していくという施策。屋久島町公認ガイドの利用促進。ウミガメ観察会の実施による魅力ある観光の充実。
新たな観光資源として、町内では今10集落で里めぐりツアーが行われている。いま縄文杉に集中していているが、屋久島には140本くらい川がある。そのなかでダイビングやSUP(スタンドアップ・パドルボード)など、川や海を使ったアクティビティも広げていきたい。
私は先週、沖縄の座間味村に行ってきた。今ちょうど、ザトウクジラのホエールウォッチングをやっていて、ダイビング客もすごく多い。
今、少子化で屋久島も人口が少なくなっている。入込客数が増えても、それを支えるだけの人がいない。だから移住の促進をやる。
座間味村では移住者と島民が一緒になって、例えば民宿や居酒屋にしても、島民と移住者がそこで働いているとか、役場の職員にしてもそうらしい。かなり多くの方がそうやって支えている。そういう関係人口、そういう仕組みを、離島はつくっていかないと、支える部分ができなくなる。そういうことでは移住定住をやっていかなくてはいけない。

記者:2024年8月の台風で弥生杉が倒壊し、いずれ縄文杉も倒れる可能性がある。そうなると屋久島は観光の目玉を失うことになるが、縄文杉なきあとの屋久島観光のあり方について、どのように考えているか?
屋久島は「一流がいっぱいある島」
町長:私は全然そうは思っていない。二代目、三代目の縄文杉が出てくると思っている。
実は20数年前、私は土埋木の残留調査で山に入った。その時にびっくりしたのは、縄文杉に匹敵するぐらいの木がかなりあること。縄文杉より立派じゃないかというような、生き生きとした、生気のある杉が。それはルート上で悪い場所にあって、道が変わったりして、縄文杉のルートが今一番いいルートなので、大勢の観光客が行っているのだと思う。なので、それに匹敵するような杉は、まだ相当な数があると思っている。
しかし、縄文杉はシンボルになっている。そういう面では、それがなくなった時にどうするのか。
屋久島には、山や森、川、海がある。縄文杉があったから世界自然遺産になったわけではない。世界自然遺産に登録された21%のエリアの中に縄文杉があって、それをエージェントやマスコミが広告塔、シンボルにして、屋久島の観光が伸びた。そこ(縄文杉)に集中したので、(山、森、川、海にも)分散をするかたちで、トレッキング、ヤクスギランド、白谷雲水峡、そして里めぐりツアー、ダイビング、SUPと。いろいろなものに分散するように、屋久島はやっていかなければいけない。
屋久島は一流がいっぱいある島だと思っている。山も森も川も海も。そこをどうやっていくか、これから知恵を出してやっていかなければいけない。だから縄文杉一本ではなくて、可能性はいくらもある島だと思っている。
記者:他にもまだ魅力的な樹木があって、それらをどう見せるか。そういった対策をこれからするということか?
国や鹿児島県との協議が必要
町長:そういうことも大事だと思う。うちは8割が国有地だ。やはり町というよりかは、林野庁や環境省、鹿児島県などと協議をしながら、やはり屋久島が最初に世界自然遺産になぜなったのかということを追求していきたい。そういう誇りを大事にしていきたいと思っている。
