【視点】火山噴火も台風も「運頼み」 長期入院をひた隠す屋久島町長の防災意識

y@kushima-post-administrator@

入院で不在1カ月半、特別警報レベル5でも「たまたま台風が来た」

「屋久島にいても災害現場を見るわけではない」と開き直りも

島民ら137人を救った口永良部島の大噴火も運が良かっただけ?

屋久島ポストの鹿島幹男・共同代表(左)のインタビューに答える屋久島町の荒木耕治町長=2026年9月29日、屋久島町役場の議会棟、屋久島ポスト撮影

屋久島町民に長期入院することをひた隠したまま、約1カ月半も町から姿を消していた荒木耕治町長が9月29日、町議会9月定例会の最終日に出席した。

公の場に姿を見せるのは約50日ぶり。自身の入院について、どんな説明をするのかと直接取材をしたら、最初に出てきたひと言に呆れてしまった。

「そんなに長くかかるとは思っていなかった」

1週間ぐらいで退院できると思っていたということなのか?

しかし、地方自治体の首長には緊急の災害時に住民の命を守るという、とても重大な責務がある。短期間の入院であっても、体調不良で町役場を離れるならば、それはしっかりと町民に伝えるべきことだ。

屋久島町議会9月定例会の最終日に出席し、約50日ぶりに公の場に姿を見せた荒木耕治町長(手前右)=2026年9月29日、屋久島ポスト撮影

「レベル5土砂災害特別警報」でも病床から災害対応

長期入院の間には、台風24号などの影響による大雨で「レベル5土砂災害特別警報」が町に発表され、1万1000人の町民は大きな危険に直面した。だが、それでも荒木町長は自身の職務を代行する「職務代理者」を置くことなく、町から遠く離れた病床で災害対応にあたった。

その点を指摘すると、もっと呆れる答えが返ってきた。

「それは、たまたま私が入院した時期に台風24号が来たということだ」

そんな大雨が降るとは知らずに入院したのだから、仕方がないと開き直ったのだ。

今回は人命にかかわる事態に至らなかったが、家屋が押し流されるなどして町民が犠牲になったらどうするのか。もし、自衛隊の災害派遣要請を鹿児島県庁にいる知事に求めたのちに、実はその要望をした荒木町長が長期入院中だとわかったら、社会から広く批判されるのは必至である。

長期入院から公務に復帰後、屋久島ポストの単独インタビューに応じる屋久島町の荒木耕治町長=2026年9月29日、屋久島町役場の議会棟、屋久島ポスト撮影

爆発的噴火をした口永良部島の教訓はどこへ?

あの時の教訓を、すでに荒木町長は忘れてしまったのだろう。

2015年5月29日に発生した口永良部島・新岳の爆発的噴火も、その日に起きるとは誰も知らない「たまたま」の災害だった。だが、町はすぐに町営船「フェリー太陽」を現地に派遣して、島民ら137人全員を迅速に避難させた。そして、一人として犠牲者を出さなかった対応は、「火山防災のモデルケース」として国内外で高く評価された。

この成果について、荒木町長は「口永良部モデル」と呼び、胸を張って誇らしげに語っていた。だが、それから6年半が過ぎた今、台風24号による大雨を「たまたま」だと開き直る姿を見れば、口永良部島の災害対応も「たまたま」成功したのだと思えてくる。

爆発的な噴火を起こした口永良部島=2015年5月29日、屋久島うみがめ館撮影

長期入院を隠した町長を黙認する町議会たち

こんな緊張感のない町長に命を預けていると思うと、屋久島町で暮らすことが不安でならない。

だが、それに輪をかけて不安になるのは、荒木町長の長期入院に対して、じっと沈黙している屋久島町議会の議員たちだ。定例会最終日の冒頭で、荒木町長が「これまで長きにわたり不在とし、議会および町民の皆さまには大変ご心配とご迷惑をおかけしました」と陳謝しているのに、誰一人として、詳しい事情を聴こうとしないのだ。

議事が始まる前なので、挙手をして質疑ができたはずである。もし、町長派の筆頭議員である石田尾茂樹議長が制止したとしても、町民の代表として議場に集まっているのであれば、そこは強く押し切って質問するべきだった。

屋久島町議会=屋久島ポスト撮影

「たまたま」の偶然で成り立つ荒木町長

なんとも情けなく、頼りない町議会だ。なので、閉会後に屋久島ポストが直撃取材するしかなかったのだが、そこで出たのが、町長の「たまたま」発言である。

荒木町長がそんな認識だということは、口永良部島の爆発的噴火で137人の命を守れたのは、「たまたま」運が良かったということだ。さらに「たまたま」襲われた台風24号で犠牲者が出なかったのも、これまた「たまたま」の幸運だったということである。

一事が万事。今の荒木町政が「偶然」の上に成り立っていることが、今回の長期入院への対応で露呈した。そして、14人の町議たちもまた、運頼みの現町政を黙認しているのである。

口永良部島の爆発的噴火を受けて、屋久島町営船「フェリー太陽」で屋久島に避難してきた人たち=2015年5月29日、屋久島町の宮之浦港

約15分におよぶ荒木町長への直接取材で、屋久島ポストは長期の不在を町民に黙っていたことに対し、何度も疑問を呈した。だが、それでも漏れてくるのは、こんな言葉だった。

「私が屋久島にいて、災害対策本部を作って役場にいたとしても、現場を見るわけではない」

こんな開き直りができる首長は、全国の地方自治体を見渡しても、ここ屋久島町だけに違いない。

■屋久島町政への提言と意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。
https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました