屋久島町政

【視点】物価高対策、なぜ屋久島町は不平等な支援策を決めたのか?

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町、スマホなければ支援が受けられない鹿銀「Payどん」を利用

町がめざす「キャッシュレス化」は重点支援交付金の目的を逸脱

鹿児島県内住民一律に平等な支援の自治体も

屋久島町役場とキャッシュレス決済サービス「Payどん」のロゴ

いよいよ屋久島町にも、国から物価高対策の「重点支援地方交付金」が入ると聞いて、期待している町民は大勢いるだろう。家族一人ひとりに一定の支援があれば、いつも買い控えている牛肉や刺身などをお腹いっぱい食べられるかもしれないと、心待ちにしているに違いない。

ところが、町が12月19日に決めた支援策の一つは、スマートフォンを持っていないと支援が受けられないという、極めて不平等な内容だ。しかも、鹿児島銀行のキャッシュレス決済サービスアプリ「Payどん」の利用者だけに限って、プレミアム付き商品券にあたる「地域振興ポイント」を付与するというのだ。

物価高対策の重点支援地方交付金などが盛り込まれた補正予算案を可決した屋久島町議会12月定例会=2025年12月19日、屋久島ポスト撮影

5万円払って やっと1万円分の支援

その内容を詳細にみると、経済的に苦しい家庭には、さらに不平等な支援だとわかる。

Payどんアプリで1万円分のポイントを買わないと、2000円分のプレミアムポイントがもらえないのだ。1人が買える上限額は5万円分で、1万円分のプレミアムポイントをもらうには、一時的に5万円もの出費をしなくてはならない。国民年金の平均受給額は月5~6万円なので、一度にPayどんに5万円も入れてしまったら、毎月の光熱費が支払えない家庭も少なくないだろう。

1人1台のスマホがないと家族全員に恩恵なし

さらに不平等だと感じるのは、この支援を受けるためには、必ず1人につき1台のスマートフォンを持っている必要があることだ。

総務省の統計によると、全国における世帯あたりのスマートフォンの普及利率は約9割だが、屋久島町ではそれほど多くの世帯が使っているとは思われない。また、世帯で1台を持っていたとしても、一緒に暮らす高齢者や子どもがスマートフォンを使っていなければ、恩恵を受けられるのは1人分だけで、家族全員には支援が行きわたらないのだ。

裕福な町民だけに最大限の支援

その一方、高齢者から子どもまで、家族全員がスマートフォンを持つことができる裕福な世帯は、プレミアムポイントを最大限に受けることができる。仮に5人家族の各人が5万円分、全員で計25万円分を購入すれば、その世帯に付与されるプレミアムポイントは計5万円にもなる。

そもそものところ、重点支援地方交付金は物価高騰に苦しむ国民を支援するためのものだ。それにもかかわらず、家族全員がスマートフォンを使えて、一度に1人5万円分のポイントが買える裕福な町民だけが最大限の支援を受けられるとなれば、この交付金の趣旨を骨抜きにすることになる。

鹿児島銀行のキャッシュレス決済サービス「Payどん」のウェブサイト画面

町議が反発「全町民に一律に商品券を配布すべき」

そして最大の問題は、この支援策にPayどんを利用をすることを、町が町議会に相談しないまま決めたことだ。12月19日にあった定例会最終日に関連の補正予算案が出された段階で、すでに町はPayどんによるプレミアムポイントの付与を決めていた。だが、町議たちが具体的な支援策を知ったのはその前日で、何も準備ができない「丸腰」のまま予算審議を迫られたのだ。

それゆえに、町議会本会議で重点支援地方交付金の関連予算案が示されると、複数の町議から異論の声が出された。その内容は、全町民に対して一律に商品券を配布するなどして、「できる限り平等かつ公平に支援が届く方法にするべきだ」として、支援策の見直しを求めるものだった。

だが町議からの意見に対し、答弁に立った町幹部の説明は、重点支援地方交付金の趣旨を大きく逸脱するものだった。なぜ、Payどんを利用すると決めたかといえば、「キャッシュレス化を図ることが町の方針」だからというのだ。

物価高対策の重点支援地方交付金などが盛り込まれた補正予算案を提案する屋久島町の荒木耕治町長(手前)=2025年12月19日、屋久島町議会、屋久島ポスト撮影

南種子町は1人2万3000円 中種子町は全町民に2万円

国はキャッシュレス化を促進するために、この交付金を全国の自治体に行きわたらせているのではない。物価高騰に苦しむ国民の生活を支えたり、低迷する地域経済を盛り上げたりするために、計2兆円もの予算を注ぎ込んだのである。

それは各自治体の支援策をみても明らかだ。南日本新聞や読売新聞の報道によると、鹿児島県内では次のような支援策が発表されている。

南種子町:全町民に配布している電子地域通貨カード「あば!Pay」に1人2万3000円分のポイントを付与。

中種子町:全町民に一律2万円を支援する予定。

龍郷町:町民1人に1万5000円の商品券を配布。

姶良市:全市民を対象に、1万円分の買い物ができるプレミアム付き商品券を1000円で販売。

まだ一部しか発表されていないが、これらの内容と比べて、屋久島町の支援策が極めて不平等であることは明らかである。

南種子町の電子地域通貨カード「あば!Pay」

「Payどん」やめて一律に商品券を配布すべき

担当の産業振興課によると、実際に町民への支援が始まるのは来年3月からだという。

それならば、今からでも遅くはない。Payどんアプリの利用をやめて、全町民に商品券を一律に配布するなどして、町中に平等かつ公平に支援が行きわたるようにするべきだ。

重ねて指摘するが、屋久島町がめざす「キャッシュレス化の促進」は、重点支援地方交付金の目的ではない。

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