屋久島町政

欠航続きのフェリー代替船「全国で中古船を探している」【渡辺博之町議 一般質問】

y@kushima-post-administrator@

荒木町長「フェリー屋久島2は明日止まるかもしれない危機感」

世界遺産・エコパーク・ラムサール「縄文杉なんかよりも広告になる」

屋久島で子どもたちに「五感で感じる体験をさせたい」

【右】航路問題などについて一般質問をする渡辺博之町議【左】渡辺博之町議の質問に答弁する荒木耕治町長=いずれも2026年6月9日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより

屋久島町議会の渡辺博之町議は6月9日の定例会で、「航路問題」「条例問題「観光振興」について一般質問をした。

渡辺町議の質問に対する荒木耕治町長ら町幹部の主な答弁は次のとおり。

1 航路問題について

渡辺町議:3月議会以降の動向に進捗があれば、報告をお願いしたい。

高速船建造、屋久島町の負担は3~4億円の見込み

荒木町長: 3月27日に鹿児島県と熊毛1市3町でジェットホイル更新にかかる事務レベルの意見交換会がウェブ会議で行われた。内容としては、県は「ふるさと融資制度」を活用し支援を行う考えを示すとともに、その際の市町の負担割合のパターン案が示された。ちなみに屋久島町は3億円から4億円となるとの見込だ。

本件については、県だけがふるさと融資の交付税措置を受け、負担額が市町より少額となること、屋久島町ではフェリーの更新方針が決定されないままでは、町民の理解が得られる負担にかかる予算の提案は難しいと発言したところだ。

続いて4月7日に藤本副知事が参加した全国知事会の要望活動では、財務省、国土交通省、内閣府に対し、持続可能な離島航路の維持確保に向けた緊急要望を行っており、そのなかで船舶更新に対する国の対象として、唯一の航路の撤廃等を盛り込んでいただいた。

フェリー屋久島2=折田汽船ウェブサイトより

高速船、離島割引で往復2600円値上げ

4月15日には種子屋久高速船が来町し、5月11日以降に適用された燃料油変動調整金改定に伴う運賃改定のお知らせがあった。屋久島・鹿児島間の有人離島割引往復料金が1万7100円となり、2600円の値上げとなった。

4月28日には、フェリー屋久島2が運航中に発電機の故障が発生し自走運航ができなくなり、5月7日まで運休した。この間、鹿児島県を通じて状況把握や物流の停滞がないよう要請を行ったところだ。

5月1日には種子島屋久島振興協議会総会が開催され、県に対し船会社と行政が一堂に会し、フェリーの更新に向けた協議の場の設定と、応分の財政負担を求める要望活動を採択いただいた。

高速船、6月30日で患者搬送業務を終了

5月12日には種子屋久高速船が来町し、6月30日をもって高速船による患者搬送業務を終了する旨の連絡を受けた。理由としては、高速船運航にかかる関係法令に抵触することと、患者の安全を確保できないとのことのようだ。ヘリ搬送やフェリーでの搬送の手段はあるものの、骨折の対応など町内の医療環境が整っていない点を補い長年救済されたことから、鹿児島県および熊毛各市町とも連携をし、なんらかの対応を要請したいと考えている。

鹿児島港と屋久島・種子島間を結ぶ種子屋久高速船のトッピー=種子屋久高速船ウェブサイトより

渡辺町議:いま全般にわたって説明いただいたが、高速船の更新について具体的な割合が示され、屋久島町の場合は3~4億円ということだった。ただこのなかで、町長はフェリー屋久島2の後継船、これが解決しなければだめだという立場を表明されたことは、本当に大事なことだと思う。

フェリー屋久島2は今年の3月から今日まで7回の運休があった。最後の1回は台風の接近のためなので、これはやむを得ないが、月に2回というとで、やはり本当に心配な状況だと思う。そういうなかで、この問題というのは推移していくわけだが、今の目標は業界と町が同じ方向、立場に立って、行政の新船建造のために、国の支援が不可欠だということだ。

ただ気になるのは、まだ町民から見て力強いアクションが必要だと思っている。いま紹介した活動以外に、何かアクションは考えていないのか。

荒木町長:私個人は社長と何回も話はしているが、いま公の場で、例えば県も1市3町の首長と議長一緒になって、同じ場所で協議もしたいというのが一つある。

もう一つは、議会にも特別委員会があるので、議会としてフェリー屋久島2のところに要望、要請に行っていただきたい。あるいは観光業にしても、漁業にしても、各種団体が絶対にフェリーが毎日安定して走ることが、屋久島の今後に必要だということを強く船会社に訴えていただきたいという思いはある。

渡辺博之町議の質問に答弁する荒木耕治町長=2026年6月9日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより

渡辺町議:議会の特別委員会の一人として、しっかりと受け止めたいと思うが、町内の各団体で何かやるべきではないかと思っている。決起集会だとか、あるいは説明、そういうものも含めて。

全町民的な規模での集会とは言わないが、そういう場は設けるべきではないかと。

高速船とフェリーの更新「セットでないとだめ」

荒木町長:いま議員が言うことは大事だと思う。ただ、私が心配しているのは、いま国と県と町で造ろうという、こういうスキーム(計画)が出てきたが、これを造れるようにするには何年かかることか。フェリー屋久島2は明日止まるかもしれない。その危機感の方が私は先だと思っている。

だから、それは同時並行でやりながら、一方では仮に新船を造ると言っても、いま発注しても4、5年後にしかできない。では、この4、5年をいまのフェリー屋久島2が走れるかといったら、これは相当疑問だ。私はそういうことの方が心配なので、まずは船会社に言ってある。高速船とフェリーはセットでないとだめだと。

1市3町で屋久島町だけが反対だと高速船会社は言っているわけだが、高速船というのは6隻ある。その一方で、フェリー屋久島2は1隻しかいない。生活物資を安定して運ぶ方が先だと思う。高速船を造らないとは言ってない。では、フェリー屋久島2について道筋を言ってもらわないと、「はいそうですか」とは言えない。

いま熊毛振興協議会のなかで、屋久島だけの問題ではないですよと。種子島にしても、いずれハイビスカスにしろ、プリンセスわかさにしろ、共同にしろ、そういう時代が必ず来る。民間は儲からないと走らないと。なので、国と県と町で造ろうという話が出てくる。国には大きな使命があると、私は思っている。

いま議員が言われるように、何かアクションを起こすことは知恵もいただき、一緒にやっていければと思う。

渡辺町議:町長はフェリー屋久島2のことを心配している。これは本当に共有していることで、現実になったらどうするのかを考えなければいけない。そうなった場合、どんなことを考えているのか。

フェリー屋久島2=Wikimedia Commons より

国・県・町で予算確保まで中古船で運航を

荒木町長:これは私の個人的な考えだが、いまフェリーの会社に言っていることは、日本全国にフェリー会社があるが、採算性が取れなくて、フェリーをやめようという地域がいくつもある。例えば和歌山とか隠岐とか。そういうところで、隠岐は船員不足で走らない。和歌山は採算が取れない。

私も職員と一緒になって、日本にそういうところたくさんあるはずなので、まずフェリー屋久島2の代船として中古船を探し、10年ぐらい、あるいは15年乗った船を買ってもらおうと。そして、それを10~15年乗ってもらって、その間に制度をきちっと、新しい新船を造る時にどういう造り方がいいのか、そうしたら我々も応分の負担はする。その負担に対しても、うちも過疎債というのがある。

新しい船を造ると時間がかかるので、全国にはいろいろな中古船がある。いま私が調べたところでは、2600トンから2800トンの船、カーフェリー。今これは3000トン、3200でしょ、フェリー屋久島2は。だから3000トン弱の、もう同じような船が運航をやめるところもある。そういう船を買ってもらい、今のフェリーと替えて走らせて、一日も早くやっていただく。新しい船を造る時には、それからの議論でいろいろと知恵を出していきたい。

「フェリー屋久島2」の老朽化問題について答弁する屋久島町の荒木耕治町長(中央)=2026年6月9日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより

2 条例問題について

渡辺町議:環境基本条例の13条に「環境審議会を設ける」とあるが、未だ設置されていない。「仏作って魂入れず」の状態は直ちに改善すべきと思うが、どうか。

荒木町長:見解というより、これどうしても作んなきゃいけないということなので、今年度中に委員の人選をやって、この間に作りたいと思っている。

渡辺町議:令和3(2021)年に鹿児島県は犯罪被害者支援条例を制定している。これを受け、鹿児島市は令和6(2024)年に同条例を制定、自治体向けの手本になっている。本町にも犯罪被害者が存在する事実から条例制定を急ぐべきと考えるが、どうか。もし、制定できないという理由があれば、それは何か、お答えいただきたい。

犯罪被害者支援条例、屋久島署などと協議中

三角謙二・総務課長:条例は昨年度から担当と協議している。いま鹿児島県の状況を見ると、制定済みなのは鹿児島市、錦江町、和泊町、与論町で、見舞金等の給付付き条例となっている。あと、制定済みで給付金等のないのは徳之島町、天城町、伊仙町の3町だ。なので、県内では給付金付きが9.3%、給付金なしが7%。残りの36市町村83.7%が条例の未設定の状況となっている。

いま令和7(2025)年度も屋久島警察署が事務局で、被害者支援ネットワーク屋久島総会というのも開かれながら、各担当がどういうことが対応できるのかという部分の協議等もさしていただいている。子育て支援だったり、小中学生の場合だと教育委員会、高校生の場合だと屋久島高校、あと福祉、各地区、戸籍等のそういう証明等については町民課というかたちの中で役割分担をしながら、ある程度の条例の骨子案はできつつあるが、総括的な事務の実務をどこが担うかっていうと、まだ協議が具体的になされていない。たたき台が出来上がっているので、これを基にして、実務をどこがするのかということを協議しているところだ。

航路問題などについて一般質問をする渡辺博之町議=2026年6月9日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより

3 観光振興について

渡辺町議:計画の実行性を高めるためには、一つ一つの施策を具体的に探求、かつ実績を確認していく姿勢が重要と考えるが、町長の見解を伺いたい。

観光基本理念
世界自然遺産・屋久島の価値創造
全ての人で作り上げる再生型観光まちづくり

荒木町長:第2次観光基本計画は、町民ならびに事業者アンケートの結果を踏まえ、観光協会をはじめ、関係団体との代表者ならびに公募委員で構成する委員会で協議を重ねていただき、令和8(2026)年3月に策定をしたところだ。

計画では、町の観光のポイントとして自然環境の保全と活用ならびに安全性の確保、利便性の高い観光地域づくり、観光客数の適正化、観光消費額の向上、島内体制の構築の五つを挙げ、基本理念として世界自然遺産・屋久島の価値創造、将来像として町に関わる全ての人で作り上げる世界に誇る再生型観光まちづくりを掲げ、これらを実現するための施策として、持続可能な観光地づくりのための自然資源の保全と再生リピーターを増やすための関係人口創出の取り組み、デジタル技術を活用した両方提供体制の確立やデーター活用ならびに、キャッシュレス化の推進などに取り組んでいく。目標達成に向けたロードマップとして取り組むべき事業を挙げており、必要な事業をできることから取り組んでいきたい。

実績を確認していく姿勢として、関係者で構成する屋久島町観光推進会議を開催し、施策の進捗状況の確認評価を行うほか、状況に応じ計画の見直しを柔軟に行い、観光業務計画の確実な実施に向けた循環の仕組みを構築し、計画の目標達成につなげていく。

渡辺町議:ドローンを活用した観光振興についての見解。

ドローン「山岳部のし尿搬出など課題解決にも可能性」

荒木町長:ドローンを活用した観光振興策としては、これまで本町が作成した動画はドローンを効果的に活用し、魅力的で迫力ある映像を国内外問わず広く発信している。観光振興にドローンを活用することで、空や海など人では見ることができない視点で観光地の新たな魅力を引き出し、旅行者へ訴求する本町の新たな魅力創出が期待される。その他のドローンの活用として、先に実証実験を行った山岳部のし尿搬出など、観光振興だけではなく、地域課題の解決にも可能性があると考えている。

活用を進めるにあたり、国有林や国立公園が町の大部分を占める本町では、土地所有者である林野庁や許認可を担当する環境省と、動植物の保全や観光客の安全確保の観点から、飛行条件などについて検討が必要であるため、課題を整理し検討を進めていきたいと思っている。

渡辺町議:観光基本計画に基づく「子供の学習の場」の提供について。

屋久島観光の目玉になっいる縄文杉

荒木町長:子供の学習の場としては、最適なところだと思っている。

私どもの島は世界自然遺産、縄文杉、白谷、ヤクスギランド、太鼓岩、そういうところでこう観光をやってきた。私は職員にずっと言っていて、なぜ三冠の島と言わないのかと。エコパークとラムサール条約を含めて。これは縄文杉なんかよりも広告になるのではないかと。

例えば日本の子どもたちが三冠の島に足を踏み入れて、そこで五感で体感をすることが人間教育にいかに大切かと。いま自然遺産の5地域の小笠原、知床、白神などの人たちと、例えば青少年の船みたいに自然遺産の5地域を、例えば修学旅行でもいい。日本の子どもたちに五感で感じるような体験をさせたいというのがある。

今回の観光基本計画では、本町の豊かな自然環境や学びの資源を活かし、教育や研修、交流の場として機能を強化し、長期滞在や永住化、地域とのかかわりを生み出す新たな集客スタイルの確立を図ることを取り組みに掲げている。

屋久島は世界自然遺産、ユネスコ・エコパーク、ラムサール登録湿地など、自然環境や生物・植物をはじめ多様な生態系を学ぶには最適な場所であり、また先人たちが積み重ねてきた自然環境の保全と利活用の葛藤などを知るとともに、海岸清掃や登山道の道直しなどに参加していただくことで、自然との関わり方についても学ぶことができる、環境学習に最適の場と考えている。さらに口永良部島はユネスコ・エコパーク管理運営計画のなかで、学びの島、学生の島と謳い、全域国立公園で火山島である稀有な島の環境を活かした自然と人の共生を学ぶことができると考えている。

本町での豊かな学習機会を周知することで、交流人口の増加、関係人口へと発展できると期待しているところだ。

■屋久島町政への提言や意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。
https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました