屋久島の漁業「少ない漁獲量で手取りを最大化する仕組みをめざす」【寺田久志町議 一般質問】
過去10年の漁業生産量は7割減、一方で生産額は1割強の緩減
町道や林道の橋梁補修「相応の事業費で測量設計や補修工事を行う」
職員への職務意識調査で働きやすい職場環境づくり

屋久島町議会の寺田久志町議は6月10日の定例会で、「これからの屋久島の漁業」「町が管理する道路の管理状況」「町の働き方改革」について一般質問をした。
寺田町議の質問に対する荒木耕治町長の主な答弁は次のとおり。
1 これからの屋久島の漁業について
寺田町議:令和8(2026)年度から屋久島漁業協同組合も組織の統合により鹿児島県に一本化され、今後、どのような事業展開がなされるのか期待しているところだが、「屋久島町の漁業」をどのように考えているか。
荒木町長:本年4月1日に県内29の漁協が統合して、鹿児島県漁業協同組合、JF鹿児島が新たに発足し、本町の漁協についても屋久島支所へと移行をされたところだ。この組織の統合一本化により、県規模での一括購入により燃油や資材等の共同購買力の強化、さらには一元的な販売仕入れルートの集約に伴う流通の効率化が期待され、私も今後の力強い事業展開と漁業経営基盤の強化に大いなる期待を寄せている。
これを踏まえ、町として屋久島町の漁業についてどのように考えるかという今後のあり方について申し上げる。
本町においては、水産業は地域の生活を支える一次産業としての役割はもとより、世界自然遺産である屋久島の豊かな自然の恵みを島内外へ発信する、地域の誇るべき基幹産業の一つであると認識している。一方で、地球温暖化や海流パターンの大きな変化、高齢化による漁業者数の減少、トビウオ漁の深刻な不漁など、現在極めて厳しい転換期を迎えている。
このような状況下において町としては、今後の屋久島の漁業を持続可能で次代を担う若い世代が誇りをもって稼げる、魅力ある自立的な産業へと進化させていかなければならないと考えている。単に過去の規模の維持を追うのではなく、少ない漁獲量であっても漁業者の手取りを最大化できる仕組みの転換こそが、これからの屋久島の漁業がめざすべき姿であると考えている。

寺田町議:漁獲高及び漁師の数が減ってきている状況で、対策はどのように考えているか。
荒木町長:漁業の担い手を増やし定着させていくため、町では新規漁業就業者支援の補助を行っており、国や県、水産振興会でも様々な支援制度が実施されている。しかし、新規参入時の支援だけでなく、漁価が安定して向上し、持続的な漁業所得がある程度見込める環境が確立されていなければ、持続的な漁業者の増加はあり得ないと考えている。
本町における過去10年の漁業生産の現状を見ると、総生産量は平成28(2016)年の約686トンから、令和7(2025)年には約211トンへと約7割近く減少する深刻な局面に直面をしている。しかしその一方で、漁獲高である総生産額は3億8000万円から3億4000万円へと1割強の緩やかな減少に留まっているのが実態だ。これはトビウオの漁獲量の減少が進むなかで、モジャコや一本釣りの高級魚など、1キロ当たりの取引価格が比較的高い魚種への移行が進み、結果として全体の平均単価が約2.9倍に上昇したことが主な要因と考えられる。
このような漁業行動の変化を踏まえ、町では島内消費の推進とコスト削減による漁業所得への向上、魚が豊かに育つ海づくり、そして新規漁業者への支援と自立経営への多角的なサポートを大局的な柱として、実効性のある対策を推進していく必要があると考えている。

2 屋久島町が管理する道路の補修を含めた管理状況について
寺田町議:近年の気象状況は、線状降水帯による集中豪雨が頻繁に発生している。この気象に耐えうる生活用道路や、農道並びに林道をどの補修・管理についてどのような計画を立てているのか。
荒木町長:台風をはじめ激しい気象状況が発生した場合、天候の回復を待って災害調査を実施し、その後復旧工事へ向けた対応を行っている。災害復旧工事が国の補助に該当する、しないにかかわらず、それ相応の経費が見込まれるため、財政担当課との予算協議を経て補正予算を計上し、必要な工事を実施することになる。
また、道路施設における通常の補修等については、集落区長や住民から寄せられる整備要望に基づき、建設課土木係が緊急度や優先度を判断し、町内危険箇所整備工事や町内舗装・補修工事等の事業により対応するほか、軽微の補修等については道路作業員による対応や外注により、修繕工事で対応しているところだ。
寺田町議:令和8(2026)年度の予算は500万円と、少額に思えるが対応可能なのか。
荒木町長:投資予算段階においては、事業費の調整を行わざるを得ない状況もある。道路施設の補修にかかる要望等については十分に対応できるとは言い切れないが、現有予算を執行していくなかで不足が生じる場合や事業の追加を行う場合には、補正予算を計上して対応することとしている。
なお、道路整備においても最も経費がかかる橋梁の補修においては、施設の長寿命化の観点から以前より補修対応の優先順位を選定しており、今年度においても町道や林道の橋梁補修をそれ相応の事業費を投入して、測量設計や補修工事を行うことにしている。

3 屋久島町の働き方改革について
寺田町議:令和元年の労働基準法改正に伴い、いわゆる「働き方改革」の推進が強くなってきており、各企業が取り組んでいるところだ。これまで、屋久島町はどのような取組を実施してきたのか。
荒木町長:働き方改革は、働く方々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革で、時間外労働の上限規則、年次有給休暇の確実な取得、フレックスタイム制の充実が盛り込まれている。
本町では職員個々の勤怠状況と時間外労働の実態を把握するため、時間外入退帳簿に勤怠時間を記入させ、総務課において各課・各職員の時間数を集計している。基準として恒常的に45時間もしくは100時間を超える職員に対して担当課長に通知し、職員との面談を行い、現状の事務内容や事務改善の課題の聞き取り、場合によっては産業医との面談を促し、事務量の把握やメンタルヘルス対応を行ってきている。また、有給休暇の取得についても、年5日以上の取得をするよう特別休暇、夏季休暇と取得を職員へ通知する際に併せて通知しているところだ。
本町としては、多様で柔軟な働き方を自分で選択できるような具体的な改革を行っていないが、毎年、職務意識調査を実施し、職員の業務内容についての感想や意見、労務管理等で気になる点、改善点の聞き取りを行い、働きやすい職場環境づくりに取り組んできているところだ。

寺田町議:令和8(2026)年度からDX化のPT(プロジェクトチーム)が発足することとなっているが、事務の効率化による働き方の改革も含めて検討してはどうか。また、勤務時間帯についても職員のニーズに寄り添ったパターンを取り入れてはどうか。
荒木町長:人口減少や少子高齢化の進行により、行政運営には効率化と持続可能性がこれまで以上に求められている。また、住民ニーズも多様化しており、限られた行政資源のなかで、より質の高い行政サービスを提供していく必要がある。
このような課題に対応するため、本町ではデジタル化そのものを目的とするのではなく、事務の効率化や業務改善を通じて働き方改革につなげることをめざし、令和8(2026)年度にPTを発足させ、取り組みを進めている。
具体的には業務の現状把握と分析を行い、住民の利便性向上、職員の業務効率化、費用対効果などを総合的に踏まえながら業務改革改善の計画案を策定し、実行していく。現在は主に窓口業務や各種申請等の対応業務に関する現状把握を進めているところで、今後も働き方改革の視点を含めて、具体的な取り組みを進めていく。また、勤務時間帯においても、職員のニーズに寄り添った柔軟な働き方は、今後必要性が高まっていくものと認識をしている。例えば時差出勤など、一定の柔軟性を持たせた勤務形態は、職員の働きやすさの向上につながる面があると考えている。
一方で、現状では職員数の減少に伴い、業務の兼務や応援体制が必要となる場合も想定をされることから、勤務時間帯の多様化が結果として他の職員の負担増につながる側面も懸念されている。そのため、こうした取り組みについては住民サービスに支障を生じさせないことを前提に、業務執行体制や職員配置との整合を図りながら、実情に即したかたちで対応をしていく必要があると考えている。
本町としては、働き方改革の一環として事務の効率化や業務改善を進めるなかで、勤務形態のあり方についても実態を踏まえながら整理し、職員にとっても住民にとっても、より良い仕組みづくりにつなげていきたいと思っている。
■屋久島町政への提言や意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。
https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA
