【視点】Payどんの不平等な物価高支援、「次回」ではなく「今すぐ」の支援策を再検討せよ
鹿児島銀行などの要望でPayどん採用を決定
地域振興ポイント、大半の町民は「蚊帳の外」で恩恵なし
荒木町長「次回は平等性を欠かないやり方で」
県内市町村の大半、全住民に一律平等に支援

物価高騰に苦しむ町民を助けるために、屋久島町が3月23日からプレミアム「地域振興ポイント」(1万円につき4000円)の付与を始める。国と県から計6000万円が注がれる支援事業で、ポイントの付与には鹿児島銀行のキャッシュレス決済サービス「Payどん」が利用される。
ところが、この支援。屋久島町で暮らす1万1000人のうち、9割近くが「蚊帳の外」に置かれて恩恵に預かれない。ポイントの付与を受けるには、各自のスマートフォンにPayどんのアプリを入れる必要があり、そのPayどんの利用者が町内にわずか1600人しかいないからだ。

荒木町長、Payどんで「経済効果を県内に集中」
どうして屋久島町は、全町民のほんの一部しか支援できない、こんな不平等な支援事業を思いついたのか?
いま開会中の町議会3月定例会で、荒木耕治町長は次のような趣旨の説明をした。
・屋久島町商工会や鹿児島県内の銀行団体などからPayどんを活用した物価高対策の検討を要望された。
・Payどんは鹿児島銀行に加え、南日本銀行、鹿児島相互信用金庫、鹿児島信用金庫に口座を持っている町民が利用できるため、早期に事業が始められる。
・プレミアムポイントの利用は町内の業者や商店に限られ、町の経済に波及効果がある。また、鹿児島銀行などが主体となるサービスを利用することで、決済に伴う経済効果を鹿児島県内に集中することができる。

支援受けられず町民9400人は置き去り
これらの理由からわかるのは、この支援事業が町商工会や鹿児島銀行などの要望で進められていることだ。町内で1600人に留まっているPayどんの利用者を増やす狙いがあるのだろうが、その結果、現時点では9400人もの町民が置き去りされることになるのである。
県内市町村、現金や商品券の一律配布が大半
その一方、鹿児島県内の全域を見渡すと、大半の市町村が全住民に現金や商品券を一律に配布する支援を予定していることが、南日本新聞の報道からわかる。
例えば、となりの種子島でも支援の対象は全住民だ。
西之表市:全市民に1万円分の地域電子通貨を付与
中種子町:全町民に2万円分の商品券
南種子町:全町民に電子地域通貨2万3000円分を付与
さらに同じ離島を見ても、一律平等に支援している自治体が多い。
大和村:全村民に現金2万円給付と1万円分の商品券を配布
宇検村:全村民に現金2万円~2万5000円の給付を検討
龍郷町:全町民に1万5000円分の商品券を配布
知名町:全町民に2万円分の商品券を配布

渡辺千護町議「極めて不平等な事業」
これら全県の状況を踏まえ、渡辺千護町議は3月11日の町議会一般質問で、Payどんを利用した屋久島町の支援事業を強く批判した。
「全町民の8割から9割が恩恵を受けられず、極めて不平等な事業だ」
「なぜ屋久島町ではハードルが高く、平等に恩恵が受けられないのか?」
だが、荒木町長は「即効性」がない、気の抜けたような答弁をした。
「次回は平等性を欠かないやり方でやっていきたい」

残りの交付金7500万円、全町民に平等な恩恵を
多くの町民が望んでいるのは、「次回」ではなく「今すぐ」の支援だ。米国とイスラエルのイラン攻撃で原油価格が高騰し、今後もさらなる物価の上昇が懸念される。そんな状況のなかで、いつになるかわからない「次回」の話をされても、物価高で苦しむ町民は救われないだろう。
物価高騰に対応する国の「重点支援地方交付金」は、あと7500万円残っているという。屋久島町の幹部には、荒木町長が言う「次回」を早急に検討してもらい、全町民が平等に恩恵を受けられる支援策を求めたい。
