屋久島町政

【視点】20年放置の炭化物1000トン、読者の告発後に屋久島町が島外に搬出へ

y@kushima-post-administrator@

炭化炉から出た炭、品質不良で販売できず「在庫」が山積みに

読者「早急に適正に処分するように正してください」

町議会、詳細を精査することなく予算3300万円を承認

【左】山積みになった袋から炭化物がこぼれ落ち、コンクリートの床を黒く染めていた【右】劣化して破れた袋から顔を覗かせる炭化物=いずれも2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

「どうして、これだけ多くの炭化物が残ってしまったのか、さっぱり経緯がわからない……」

屋久島町の病院と旧ごみ処理場の跡地に残された大量の炭化物について、屋久島ポストが取材をすると、町生活環境課の担当職員は途方に暮れるように言った。2006年に稼働した循環式のごみ処理施設で、酸素を遮断してごみを熱分解する炭化炉から出た炭なのだが、町に記録文書が残っていないため、どれくらいの量が残っているのかも含めて、明確には何もわからないというのだ。

この炭化物、単なるごみであれば、一般廃棄物として処理することが廃棄物処理法で定められている。だが当初の計画では、燃料として島外に販売するつもりだったため、町は「有価物」として保管することができた。そうなると、一見は廃棄物のように見えても、法的には「在庫品」ということになるのだ。

しかし、それではなぜ、町民の財産とも言える在庫の量を町は把握していないのか?

屋久島町役場=屋久島ポスト撮影

読者メール「公衆衛生・防災上とても危険」

この取材を始めたきっかけは、2025年8月に読者からあった情報提供だった。屋久島ポストに届いた一本のメールには、次のような訴えが書かれていた。

<ごみ処理場から排出された炭化物が大量に、放置同然で保管されています。

放置しているのは屋久島町です。

だれでも出入りできる建物で、公衆衛生・防災上とても危険な状況です。

ぜひ、屋久島町の生活環境課廃棄物担当課価値に取材して、早急に適正に処分するように正してください>

屋久島町のごみ処理をするクリーンサポートセンター=2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

読者の指摘で取材も町に記録文書なし

この情報を受けて、まずは同課の担当職員に電話で取材してみたのだが、詳細な情報は何もわからなかった。

どのような経緯で、大量の炭化物が残ったのか?

どれくらいの量の炭化物が保管されているのか?

何を質問しても「わからない」という。いくら尋ねても埒が明かないので、情報公開制度で記録文書を開示請求したところ、返ってきた答えは「何も文書がない」だった。

有価物として保管しているのに、町に記録文書が一切ないというのは、あり得ないことだ。そこで、「せめて炭化物の量がわかる記録を作成してほしい」と頼んだところ、職員が作成した「在庫表」が開示され、そこには合計で約1000トンの炭化物が残されていることが示されていた。

病院跡にある廃墟のフロワーに山積みされた炭化物。劣化で破れた袋からは、真っ黒な炭が床にこぼれ落ちていた=2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

廃墟を埋め尽くす炭化物の山

文書の開示後、職員の案内で同年11月に病院跡の保管現場を訪ねると、山のように積まれた炭化物に圧倒された。病院跡の廃墟は2階建てで、幅60メートル、横15メートルほどの広さがあり、その大半を炭が入った無数の袋が埋め尽くしているのだ。

職員に話を聞いたところ、自身が10年ほど前に町役場に入った時点ですでに炭化物の保管は始まっており、どのような経緯で在庫が増えていったのかはわからないという。ただ、先輩の職員から聞いた話によると、当初の計画では炭化物を燃料として販売する予定だったが、悪臭がするなど品質に問題があり、販売先が見つからなかったということだった。

病院跡にある廃墟に山積みされた炭化物。表に面した部分にはビニールシートがかけられていた=2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

表向きは「有価物」でも実際は「廃棄物」

問題の炭化炉が稼働したのは2006年なので、20年間にわたって蓄積された炭化物が放置されてきたことになる。表向きは「有価物」であっても、実際に販売できなければ、それは「廃棄物」でしかない。

それにもかかわらず、なぜ屋久島町は何も対策を取らないまま、長年にわたって炭化物の処分を先送りしてきたのか。それも、一切の記録文書を残していないのは、一般廃棄物の処理を所管する地方自治体としては、信じられない対応である。

屋久島ポストの取材を受けた町は、残された炭化物を島外へ運び出す方針を固めて、2026年度に約3300万円の予算を計上。できるだけ早く、再利用または廃棄処分するとしている。

合計で700トンの炭化物が放置されている病院跡の廃墟。入口には鉄パイプ製の柵があるが、高さは1メートルほどで、誰でも簡単に入ることができると=2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

再び読者、役場と議会を「無駄と謎だらけ」批判

ところが、この町の動きを「屋久島町、世界自然遺産の森を望む廃墟などに大量の炭化物を長年放置」と題した記事(4月17日付)で報じると、再び読者からこんな意見が届いた。

<炭化物であれば、屋久島のごみ処理施設で、燃えるごみの燃焼に使用できるのではないでしょうか?

なぜ公費で搬出する必要があるのか?

町議会はそんなに簡単に承認したのでしょうか?

搬出先どこなのか?

何に使うのか?

無駄と謎だらけです>

そんな疑問が出るのは当然だ。

2026年度からは新たなごみ処理施設として、これまでの炭化炉とは違う一般的な焼却施設の「ストーカ炉」が稼働しており、そこで炭を燃やすことはできないのか?

また、町議会が炭化物の処理費として予算3300万円を承認したのはいいが、その過程で深い議論は全くなかった。おそらくだが、予算案に賛成した町議たちは、この読者の疑問に対し、何も明確に答えることはできないであろう。

2026年度から稼働するストーカ炉のごみ処理施設=2025年11月、屋久島町宮之浦、屋久島ポスト撮影

町民に情報を伝えないまま3300万円を予算計上

そもそもだが、品質不良の炭を生み出す炭化炉を20年前に導入したことが大きな間違いだった。そして、次々と増え続ける炭化物の処分を先送りしたうえ、その記録を一切残してこなかった町の責任は極めて大きい。さらに町議会は、大量の炭化物に見て見ぬふりを続け、最終的な処分方法や費用について精査することなく、あっさりと町が出した予算案を認めてしまった。

この炭化物をめぐる20年間の動きをみると、いかに屋久島町がいい加減な対応を続けてきたかがわかる。町民には何も情報を伝えないまま、炭化物の在庫をため込んで困った末に、大した議論もせずに約3300万円もの処分費用を支出しようとしているのである。

旧ごみ処理場跡にある建屋には、炭化物が入った「トン袋」が大量に残されていた=2026年2月、屋久島町尾之間、屋久島ポスト撮影

屋久島町民はしっかり見ている

そして、何より問題なのは、もし読者からの告発がなかったら、さらに町が炭化物の処分を先送りしていた可能性があることだ。少なくとも、屋久島ポストが取材を始めた2025年8月の段階で、町には明確な方針はなく、炭化物の在庫量を記録した文書もなかったことを思えば、そのまま放置が続いていたことは十分に考えられる。

黙っているようで、屋久島町民はしっかり見ている。

そんな緊張感をもって、屋久島町役場にはしっかり対処してもらいたい。

■屋久島町政への提言と意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。

https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました