NPO屋久島森林トロッコ、町議会で安房森林鉄道の観光利用計画を説明

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近代化産業遺産の森林鉄道、世界自然遺産との連携で新たな観光資源に

全国森林鉄道サミットへの参加も計画

専門医、鉄道を活かした「森林浴」の普及を!

NPO屋久島森林トロッコの説明資料「安房森林鉄道が開く 屋久島の未来」の表紙

100年以上の歴史を誇る「安房森林鉄道」の観光利用をめざすNPO「屋久島森林トロッコ」(小脇清治理事長)は8月25日、屋久島町議会で同鉄道の利用計画について説明し、町議たちに協力を呼びかけた。6月に町議会へ提出した陳情書の採択を求めるためで、「さらなる屋久島観光の発展のために、日本で唯一、現役で稼働する森林鉄道を活かしたい」と訴えた。

屋久島町議会の産業厚生常任委員会で開かれた安房森林鉄道の観光利用に関する説明会=2026年8月25日、屋久島ポスト撮影

説明会は町議会・産業厚生常任委員会の要請で開かれ、内田正喜、中馬慎一郎、日高好作、大角利成、寺田久志、天辰絵美子の各委員が出席。石田尾茂樹議長と相良健一郎町議が傍聴した。

NPOからは小脇理事長ら5人が出席し、以下の6項目に分けて計画を説明した。

1 安房森林鉄道について/歴史、近代化産業遺産

安房森林鉄道は1923(大正12)年に開通し、島東部の安房港と小杉谷集落(国有林の伐採拠点)を結んだ。主に伐採された屋久杉の運搬で活躍し、伐採関係者やその家族の生活の足としても利用。1969(昭和44)年まで小杉谷周辺で続いた国有林の伐採と木材の運搬を支えた。

NPO屋久島森林トロッコの説明資料

1970(昭和45)年に小杉谷事業所が閉鎖されたのちは、屋久島森林管理署が鉄道を管理。島内で発電事業をする屋久島電工が発電所の保守管理に利用しているほか、山小屋トイレのし尿運搬、遭難者の救助などでも活用されている。

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2008(平成20)年には経済産業省の「近代化産業遺産」に認定。「山間地の産業振興と生活を支えた森林鉄道の歩みを物語る近代化産業遺産群」として、安房森林鉄道を含む次の7件が選ばれた。

・丸瀬布の森林鉄道(北海道)
・真室川森林鉄道(山形県)
・戦前の森林鉄道機関車(群馬県)
・木曽の森林鉄道(長野県)
・京都大学芦生研究林軌道(京都府)
・魚梁瀬森林鉄道(高知県)

・安房森林鉄道(鹿児島県)

NPO屋久島森林トロッコの説明資料

2 観光利用計画/屋久島森林鉄道夢プロジェクト

森林鉄道は「新たな観光資源/学習資源」として活用し、自然体験や民俗歴史学習などの観光・学習スポットとして整備する。これによって旅行客の島での滞在時間を延ばし、ガイド業や飲食店、土産物店など新たな仕事を創出する。

NPO屋久島森林トロッコの説明資料

運行区間は「苗畑停車場」~「トンゴ渕の上停車場」の1.5km。往復で運行し、希望者は復路のみウォーキングを検討している。旅客輸送ではなく「遊戯施設」として運行し、時速7~9キロで走行。1回に100人(20人×5両)の輸送を予定している。

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安全対策として、現在のレール(9kg)より肉厚(15kg)のものに変更。枕木を3年計画で取り替え、歩行者の安全ために軌道全体に板張りをする。運行区間に5つの橋があるため、老朽化が著しいものは随時改修。森林浴や景色を楽しむ人たちのために危険な場所にはフェンスを設置する。客車には監視員を添乗させるほか、軌道沿いには常時、保線員を配置する。

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3 全国の森林鉄道/各地の活用例、経済効果

全国各地では廃線になった森林鉄道を復活させて、新たな観光資源などとして再利用している事例が複数ある。

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長野・木曽地域で活躍した赤沢森林鉄道(長野県上松町)は1975年に運行を終了したが、伊勢神宮御用材の伐採で再稼働したことで評判が高まり、1987年に天然ヒノキ林を走る森林鉄道として運行を開始。観光の目玉として活躍している。

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また兵庫県宍粟町では、地元有志が波賀森林鉄道を復活させるためにクラウドファンディングで資金を集め、町と協力して活動を続けている

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さらに、森林鉄道を復活させた全国の団体や自治体などが集う「全国森林鉄道サミット」が定期的に開催されており、2027年に開かれる予定の第4回サミットには、安房森林鉄道も参加を予定している。

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4 岐路に立つ屋久島観光/現状と将来展望

近年、観光客の減少が目立つ屋久島観光を盛り上げるために、安房森林鉄道を新たな観光の目玉として活用する。

屋久島は1993年に世界自然遺産に登録されて以降、観光客の急増で主要産業が観光業になり、町は「観光立島」を自負するまでになった。だが、観光客数の目安となる入込客数は2007年度の40万6387人をピークに下がり続け、2024年度は約24万3731人にまで減少。多くの観光客が訪れる縄文杉や白谷雲水峡などに加えて、新たな観光資源をつくることが課題となっている。

NPO屋久島森林トロッコの説明資料

5 森林鉄道の観光利用で期待される効果

屋久島町はユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の「世界自然遺産」に加え、経済産業省の「近代化産業遺産」にも認定された全国唯一の自治体である。この二つの遺産を観光政策の前面に押し出し、かつて屋久杉を伐採した歴史などを伝える町立屋久杉自然館と連携することで、屋久島がもつ「自然との共生」というメッセージを国内外に発信する。

乗車料金は一般客2000円、4~12歳1000円を予定。利用する観光客数は年5~6万人で、年間の収入は約1億円を見込んでいる。

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6 屋久島森林トロッコの実現に向けて

開業は最も早くて2028(R10)年4月を目標にしている。

NPOとしては、これまで森林鉄道を所有する国(林野庁)と、鉄道を運行する屋久島電工と協力に関する交渉を終えている。その際に出された条件は「屋久島町の協力」であることから、町役場と町議会の協力が必要不可欠となっている。

NPO屋久島森林トロッコの説明資料

森林医学医、鉄道の観光利用で「森林浴」の普及を提言

利用計画の説明に続き、国際自然・森林医学会(INFORM)の森林医学医で、NPO屋久島森林トロッコ副理事長の福田純医師(屋久島町在住)が、屋久島で「森林浴」を普及させる必要性について提言し、次のような趣旨で訴えた。

屋久島には森林浴に適した豊かな森があるが、観光客が訪れるのは縄文杉や白谷雲水峡など険しい場所ばかりで、高齢者や体が弱い人が楽しむことができない。また、雨で登山ができないことが多く、他に訪ねる場所がないため、残念な思いで帰る観光客が大勢いる。そのような状況のなかで、安房森林鉄道の観光利用が実現すれば、より多くの観光客や町民が森林浴を楽しむことができ、それが観光客の増加や多くのリピーターを生みだすことにつながる。

屋久島の森に差し込む太陽の光

これらの説明と提言を踏まえ、産業厚生常任委員会は林野庁と屋久島電工からも説明を受けたうえで、陳情書を採択するかどうかを検討するとしている。

■屋久島町政への提言と意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。
https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA

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