【視点】住民に「読売新聞」だけを読ませる屋久島町に憲法違反の可能性?
町長のリコールや旅費不正を報じる南日本と朝日を排除か?
憲法21条や「図書館の自由に関する宣言」で守られる「知る自由」
日本図書館協会「権力の介入または社会的圧力に左右されない」

屋久島町内に2カ所ある町立図書室で読める新聞が、なぜか「読売新聞」だけに限定されていることについて、屋久島ポストは6月19日付の記事で報じた。
読者のなかには、「それの何がいけないのか?」と思う方もいるかもしれない。だが、この問題を取材する理由は、かつて記者が次のような経験をしたからである。
町長リコールを報じる朝日新聞が突然に消えた!?
今から10年前の2016年4月、新しい役場庁舎の建設計画をめぐり、高額な総事業費を問題視した多くの住民から批判の声が上がった。やがて、建設に反対する住民団体が活動を始め、計画を押し進める荒木耕治町長のリコール(解職請求)運動に発展。屋久島町政は約1年にわたり大きく揺れた。
この問題を積極的に報じていたのは、当時、記者が「屋久島通信員」をしていた朝日新聞だった。また、朝日に続くかたちで、地元紙の南日本新聞も折に触れて記事を掲載。一方で両紙以外の新聞は、リコール騒動で揺れる町政について、一行も報じていなかった。
そして、その騒動の最中、記者がよく利用する島南部の尾之間図書室で購読されていた朝日新聞が突然、読売新聞に替わってしまったのである。

町長の旅費着服事件を報じた南日本新聞も読めず
図書室が朝日新聞の購読を止めた理由は察しがついた。だが、町長リコールの取材に追われ、その理由を明らかにする余裕はなく、そのまま10年の月日が流れてしまった。その間には、2019年末に発覚した町長の出張旅費着服事件などについても、朝日と南日本は積極的に報道した。
そこで今回、町が購読している新聞を情報公開制度で調べたところ、記録が残っている2019年4月以降、尾之間と宮之浦の両図書室が7年間にわたり、読売新聞だけを購読し続けていることが判明。おそらくだが、町長リコールが起きた2016年から10年間、町立図書室に朝日新聞と南日本新聞が置かれたことはなかったとみられる。
これらの経緯を踏まえると、町が自身に不都合な事実を報じる新聞を排除していることが容易に推察できる。そして、町が意図的に朝日と南日本を町民に読ませないようにしているとなれば、それは憲法21条が保障する「知る権利」を侵害する行為となる。

権力から自由であるべき公立図書館
公立の図書館と図書室は、社会教育法や図書館法に基づいて設置されている。これを受けて、公益社団法人・日本図書館協会は「図書館の自由に関する宣言」を表明し、国民の「知る自由」を守るために図書館が果たすべき使命などを明示。そのなかには、次の一文がある。
<図書館は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、自らの責任にもとづき、図書館間の相互協力をふくむ図書館の総力をあげて、収集した資料と整備された施設を国民の利用に供するものである。>
図書館と図書室の設置者である行政機関が、自らの主義主張や方針に合わない図書や資料などを排除してはならないということである。

1紙だけ購読なら地元紙の南日本新聞では?
いま屋久島ポストは次の質問を町に投げかけ、町立図書室で読売新聞だけを購読し続けている理由を尋ねている。
1 なぜ、町立図書室で「読売新聞」だけを購読し続けているのか? その理由と経緯の説明を求める。
2 予算不足で1紙の購読に限定されるのであれば、鹿児島県の地元紙である「南日本新聞」にするのが妥当と思われるが、町としての見解は?
まずは町からの回答を待つことになるが、果たして明確な理由と経緯の説明ができるのか。すでに10年も前の話なので、「もう記憶がない」「記録文書もないので何もわからない」といった回答が予想されるところである。
ただ、どんな回答が返ってきたところで、多くの町民はこう望むだろう。
図書室に新聞を1紙だけ置くのであれば、鹿児島県の情報が詳細に載っている「南日本新聞」にしてほしいと。
■屋久島町政への提言や意見
屋久島町政について、読者からのご提言やご意見をお待ちしています。以下URLのフォームから投稿をお願いいたします。
https://forms.gle/4jwVGJ144BYUYESYA
