屋久島町政

【取材後記】世界から低評価、それでも記者クラブを根拠に取材拒否する屋久島町議会

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2026年「報道自由度ランキング」、日本は記者クラブ制度が原因で62位

石田尾議長、記者クラブ未加盟を理由に屋久島ポストを議会から排除

屋久島ポスト、「議会取材の自由を守る訴訟」で日本の報道のあり方を問う

今年も日本の大手報道機関と、各メディアを取り巻く環境は低い評価を受けた。

国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)が4月30日に発表した2026年の「報道自由度ランキング」によると、調査対象となった180カ国・地域のうち日本は62位となり、前年の66位とほぼ同じく低い順位に留まった。日本特有の記者クラブ制度でメディア内に序列が生まれ、報道機関による「自己検閲」が広まっていると指摘されたのである。

屋久島町にも影響を与える記者クラブ制度

日本の低評価の「元凶」とされる記者クラブ制度は、大手マスコミだけでなく、地域社会で報道する屋久島ポストにも大きな影響を与えている。

屋久島町議会(石田尾茂樹議長)は2021年11月から約3年半にわたって屋久島ポストの議会取材を拒否し続けたが、石田尾議長が判断基準にしたのは、まさにその「記者クラブ」だった。屋久島ポストが鹿児島県庁の記者クラブ「青潮会」に加盟していないことを理由に、議場で撮影や録音することを禁止したのである。

そもそもだが、屋久島町役場には記者クラブなるものは存在していない。地元紙の南日本新聞を含めて、町内に常駐記者を置いている大手メディアがいないからだ。

それなのに、なぜ町議会は県庁の記者クラブに加盟しているのか否かで、議会取材の可否を決めているのか?

石田尾議長の言い分によると、記者クラブの加盟社であれば、議会の内容を正確かつ公平公正に伝える能力があるからだという。それに対し屋久島ポストは、石田尾議長の判断は大手マスコミと市民メディアを差別していると反論しているが、議長は頑として自己の主張を曲げていない。

議員席から取材を拒否する理由を問われた後、手を出して町議の発言を制止する屋久島町議会の石田尾茂樹議長=2021年12月7日

町幹部、報道取材に「何の権利があって聞くのか?」

屋久島町で取材を始めて12年になるが、この町に「報道の自由」があると感じたことは、これまで一度もなかった。

2015年に爆発的な噴火を起こした口永良部島の取材で、復興住宅の建設費2800万円が盛り込まれた予算案が町議会に提案された際に、その詳しい内容を取材しようとすると、担当課長はこう言って取材を拒否してきた。

「あなたは、何の権利があって予算案の内容を聞くのか? どんな法律に基づいて取材しているのか?」

正直言って、この発言には面食らった。国や地方自治体が実施する公共事業について取材をして、こんな逆質問を受けた経験がなかったからだ。私たち日本国民の「知る権利」は憲法21条で保障されており、報道取材であるかどうかにかかわらず、誰にでも平等に認められた権利である。

この町役場の姿勢はその後も続き、2016年に新しい町役場の建設計画を公表する際にも、町幹部は報道取材を拒否した。そして、同年の3月議会で予算案が承認されると、総事業費の20億円(最終的には24億円)に驚いた町民たちは反対運動を起こし、荒木耕治町長に対するリコール(解職請求)運動に発展する事態となった。

屋久島町役場

変わる町役場 変わらぬ町議会

その新庁舎建設をめぐる取材から10年が経ち、町役場の取材対応は少しずつ改善されつつある。過去の先輩たちが重ねてきた「失敗」が教訓となったのか、屋久島ポストが町に情報提供を求めても、「あなたは何の権利があって取材しているのか?」などと言って、取材を拒否する職員はいなくなった。

そして、最後に残ったのが、屋久島ポストの議会取材を拒否し続けた石田尾議長だ。いま現在、私たちは町議会を所管する屋久島町を相手取り、取材を拒否した議長判断の違憲性を問う訴訟を提起しているが、被告の町を通じて出てくる議長の主張は、相も変わらず屋久島ポストを含めた市民メディアなどを差別する内容である。

屋久島町議会の本会議場

石田尾議長にしてみれば、自身が支持する荒木町政に不都合な事実を報じる屋久島ポストを排除するためには、この記者クラブ制度は絶好の口実なのだろう。世界中から「日本の報道の自由を妨げる主要因だ」と指摘されても、大手報道機関がその記者クラブに安住しているのだから、それに便乗しない手はないということだ。

地方から問いただす日本の記者クラブ問題

その意味で、屋久島ポストが提起した「議会取材の自由を守る訴訟」は、日本の報道のあり方を根底から問う裁判だと考えている。小さな地方議会であっても、記者クラブ制度を口実にした取材拒否が違憲だと認められれば、それが中央に波及して、記者クラブだけに与えられた「特権」を見直す契機になると信じている。

■屋久島町政への提言と意見
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