屋久島町政

【視点】百条委員会で不正調査をしない屋久島町議会

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町長らの旅費不正精算事件、5回の百条委設置案をすべて否決

刑事事件になった案件は調査しない……

熊本県八代市議会、贈収賄事件をめぐる調査の真最中!

新庁舎建設をめぐる贈収賄事件が問題となっている熊本県八代市の市役所=Wikimedia Commons より

熊本県八代市が新庁舎建設をめぐる贈収賄事件で大きく揺れている。

現職市議が建設工事を請け負った業者側から現金6000万円を受け取ったとして、あっせん収賄の罪で起訴。現金を贈った業者側も含めると計5人が起訴され、連日マスコミによる報道が続いているのだ。

各社の報道によると、現職市議が大胆にも6000万円もの大金を受け取り、懇意にしている業者が競争入札で有利な扱いが受けられるように市幹部に働きかけたという。その際に市議は「市長の了解済みだ」と言って、副市長らを信じ込ませたとされる。

まだ裁判が始まる前だが、もしこれが事実であれば、約11万7000人の市民を裏切るとんでもない犯罪行為である。

八代市議会、刑事捜査とは別に贈収賄事件を独自調査

ただし、ほんの少しだけ救いを感じるのは、市議会が調査特別委員会(百条委員会)を設置して、警察や検察の捜査とは別に、独立したかたちで事件の真相に迫ろうとしていることだ。7月3日には当時の副町長と財務部長が出席して、百条委の証人喚問に応じたそうだ。

その様子を伝える朝日新聞の記事によると、元財務部長は「良くないことをしているとは分かっていた。(止める)勇気がなかった」と証言。元副市長は「市長の了解済みと言われ、受け入れやすい気持ちになったのだと思う」などと話し、贈収賄事件の全容解明に協力しているという。

熊本県八代市議会の本会議場=同市議会ウェブサイトより

百条委員会は執行部と対峙する「伝家の宝刀」

百条委員会というのは、地方自治体の事務に関する不正や疑惑を調査するために設置される特別委員会で、地方自治法100条に基づいた制度だ。強い調査権があり、関係者の証人喚問や資料の提出などを求めることが可能で、地方議会にとっては執行部と対峙するための「伝家の宝刀」とも言われている。

町幹部がニセ領収書で不正精算しても調査せず

ところが、この百条委員会。わが屋久島町では、どんなに悪質な不正事件が起きても、一度も設置されたことがない。2019~2020年にかけて続いた町幹部による出張旅費不正精算事件では、実に5回もの百条委設置案が町議会に出されたが、すべて反対多数で否決されている。

虚偽領収書の不正調査をする百条委員会設置案の採決結果を表示するモニター画面。これで5回目の否決となった=2022年9月20日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより

不正調査を住民訴訟に押しつける町議も!?

この事件で、荒木耕治町長は航空運賃の高齢者割引を悪用して、約200万円の旅費を不正に着服。岩川浩一元副町長や岩川俊広元議長らは、実際よりも高額な航空運賃が書かれたニセの領収書で不正精算していたが、大多数の町議は町幹部の不正に見て見ぬふりを続けたのである。

そして、その百条委設置案が否決されるたびに疑問に感じたのは、多数派の町議たちが次のような趣旨で反対したことである。

・警察や検察の捜査を混乱させるので百条委員会は必要ない

疑惑の調査では百条委員会は設置できない

・刑事事件になった案件は調査すべきではない

・不正の疑いがあるなら住民訴訟で解決すればいい

住民から荒木町長らが刑事告発され、町幹部を守りたい一心だったのだろう。

だが、こんな主張がまかり通るなら、百条委の設置を規定した地方自治法100条は、屋久島町では存在しないも同然となる。大きな事件になればなるほど、警察や検察などが動くことになるのに、刑事事件になった問題を調査できないのであれば、実質的に百条委設置の機会がなくなるからだ。

また、「住民訴訟で解決すればいい」というのは、住民代表としての責任を放棄したような主張である。町の不正調査で、住民に裁判での解決を迫るのであれば、行政監視が最大の責務である町議会の存在意義はなくなってしまう。

副町長、議長、副議長が出張旅費の不正精算で使った領収書

全国の地方議会で百条委が設置されているのに……

贈収賄事件をめぐる八代市議会の対応は、ほんの一例だ。市長の学歴詐称問題に揺れた静岡県の伊東市議会や、知事に対する内部告発が問題になった兵庫県議会など、百条委員会で不正や疑惑を調査する地方議会は数多くある。

議員としての実務知識や議会運営のルールなどを解説した指南書『議員必携』最新版の表紙(学陽書房)

かつては百条委設置案を否決し続けた屋久島町議会だが、その後の改選で、新しい町議が仲間入りしている。

そこで各町議に求めたいのは、議員としての実務知識や議会運営のルールなどを解説した指南書『議員必携』(学陽書房)を開いて、「百条委員会」に関する説明をじっくりと読むことだ。そのなかには、こんな記述がある。

<議会に調査権が与えられているのは、執行機関が住民の福祉増進のため適正な事務処理をしているか、その実態や真相を把握して、もし、違法や不適正な事実があれば、その原因を究明して、それを是正、改善する方策は何であるかを見出して、是正、改善させる。そして必要に応じて責任の所在を明確にして将来を戒め、議会の監視機能と政策機能の発揮に万全を期するためであることを十分理解しなければならない。>

そして、議員必携のどこを読んでも、「刑事事件になった案件は調査しない」といった説明は見当たらない。

どのベテラン町議が発言したとは言わないが、そんな先輩議員の真似だけはしないように心がけてほしい。屋久島町民、1万1000人の代表として。

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